過去の縦のリストワークと現在のウィンドミル

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19歳の夏、コロンビヤ、グアヤキルのレッドクレーで僕はサテライトの1週目の試合で戦術を身につけた。攻める時は自分のポジションを上げ、攻められた時は自分のポジションを下げる。クレーってこんなに広くコートを使えるのかと感覚的な感触をつかんだ遠征であった。しかし具体的にではなく感覚的であったため、どのようにしてできるようになったかは自分では気がついていなかった。

ボリス・ベッカー全盛時代、フォアハンドダウンザラインの外からまいてくるパッシングショット、特別に速いボールではなく、しかもバックのハイボレーの位置に打つ。一見ボレーで決められてしまいそうだけど、どの選手も押さえきれずはじかれてしまっていた。

初めてチャレンジャーのツアーを回ったときのこと。香港のビクトリアパークで敗戦後、当時、僕と山本育史さんのツアーリングコーチをしてくれていた丸山薫さんに、もっと縦のリストワークを使うように指導を受けた。その後、縦のリストワークから縦のスウィングと言われるようになり、数年後のカナダ・グランビーでは、縦のスイングを応酬する選手を見かけた。

同じ試合に出場しながらも、「へぇっフォロースルーって必ず首に巻きようにして打つんじゃないの?」「試合でもここまで使っていいんだ!」と肌で感じ衝撃を受けた思い出がある。

今ではディフェンス、ニュートラルだけではなくオフェンスでも使う頻度が高くなっているウィンドミル。思い返せば、あのポイントで使えていたらな、あの試合で打ててたらな、そうしたら漠然とした感覚的なものが、具体的な戦術として確立されてたのになと。ウィンドミル。

僕にはそんな背景がある。

それでもウィンドミルを、ナダルだから、プロ選手だからといって、故意的に選手に打たせない人たちに対して僕は聞きたい。その背景と根拠はなんだろうか?

自分もその状況において打ってみたらいい。どれだけ安定したショットを打つことができるだろうか。どれだけプレーの幅が広がるのだろうか。自分で使ってみて効果を試して欲しい。そして自分に問いかけてみたらどうだろうか?スローハードコートに対して本当に必要としないスイングであるのか。不自然なスイングをさせているのは実は自分の方なのではないだろうか?それ以前に自分がもっと経験し、目をひらき、知識を学び、外に出なくていいのだろうかと。

自分のグラスを確認し、ミリンを白ワインだと思いこんで飲んでいるのではないかとまずは疑うべきである。



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