庭球からテニスへ

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人は色々な場面で決断を迫られる時がある。その結果においては、成功する場合もあれば失敗する場合がある。

しかし、いざ決断する際には、失敗をすることは考えずに勇気をもって自分の責任において決断している。

今回のUSオープンでの試合観戦のなかで、試合そのものの流れを変えた「2つの勇気」に感激と興奮と震えが止まらなかったことについて書いてみたい。

1)車いす男子ダブルスファイナルで起こったプレイ。

国枝選手とステファン・ウデ選手(FRA)ペアの優勝の中には、ウデ選手の信じられない決断と実行があった。

ファーストセット62、セカンドセット26の力と力の対決。ファイナルセットの国枝・ウデ選手ペアはセカンドセットの流れからなかなか抜け出せない雰囲気があった。

完全に相手ペースで試合は進行している。それでも流れの無い中で大きくスコアを離されずについていった彼らは本当に良くやっていた。

スコア45でのゲームで相手のマッチポイント2本を何とか凌いだが、とうとう3本目のマッチポイントでウデ選手の放ったショットは、バックボレーで思い切りバックスピンをかけて、相手のコートに入れてから相手に触らすことなく自分たちのコートにボールを戻した奇跡的なショットでした。

若干「風」にも助けられたバックスピンショットでしたが、そのショット1発で、完全に試合の流れは国枝・ウデ選手ペアのものとなり、最終的に75で勝利を手中に収めました。

2)車いす男子シングルスファイナルで起こったプレイ。

国枝選手とグスタボ・フェルナンデス選手(ARZ)での国枝選手が土壇場で選択した決断と実行があった。

ファーストセット76(71)。40アップから追いつかれ、その後は一進一退。タイブレークでは国枝選手が圧倒した。

セカンドセットは相手も開き直り、ファーストセットの追い上げた勢いをそのままに国枝選手を圧倒したフェルナンデス選手。

それでも、なんとか相手についていった国枝選手の55でのポイント(40-40)このポイントはフェルナンデス選手がアドバンテージを取ると、国枝選手が取り返すという流れが何度も起こった。

そして、国枝選手が2回目のアドバンテージを取ったとき、国枝選手はサーブ&ボレーを決断した。
フェルナンデス選手のリターンも素晴らしく国枝選手はハーフボレーとなったが、いつもより速いタイミングでボールが返球されたために、フェルナンデス選手のショットはアウトとなり国枝選手が65とリード。

そこからは国枝選手のペース。75と試合を締めくくり、国枝選手は年間グランドスラムを達成した。

偉大な2人の選手が最重要場面で決断したショットは、まさしくスーパーショット。

誰がこの場面でこのショットを選択するだろうか?リスクを背負って勝利をモノにした試合を魅せていただいた。

しかし、この2人の選択はただ単にトリッキーなショット選択をしたことではない。破れかぶれに打って決まったものではない。

ウデ選手はご存じの通りフランスの選手。フランス選手はプロやジュニア選手を含めて、常日頃からこのようなショットを遊びの一環として練習中でも行っており、全く裏付けのないことではありません。普段から慣れ浸しんでいるショットの一つでもあるのです。

同様に国枝選手のサーブ&ボレーは、以前このブログにも記載しましたし、テレビでも紹介された通り、散々練習を重ねていった賜物のショットなのです。

「練習でやったことしか試合ではできない」ということを良く理解しなければなりません。

彼らのプレイはPLAYという単語を直訳した通り「遊び」が隠されています。

勿論これは、多くの練習や知識、経験などがベースになっていますが、遊びの中から覚えていくことが、この究極の場面での成功につながったと言えるでしょう。

私は、やりたいことをやってみればいいと思います。発想力を豊かにしていく練習は本当に必要です。今回一般男子シングルスで活躍している錦織選手も同様です。

大切な局面で放つFHドロップショットは、練習の終わりにコーチの球出しからドロップを打つ練習をしています。

フェイスブックにも書きましたが、庭球からテニスへ進化しつつある「テニス王国日本」。

これからは単なる技術やフィジカルの強化だけでなく、「基礎」を今まで以上にしっかりすることは勿論のこと、発想力豊かなPLAY(遊び)を目指していくことで、国際力が更に向上していくこととなるでしょう。

それには、選手以上にコーチの指導力が試されてくるので、私も選手以上にPLAYしていきたいと思います。

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