錦織圭(テニス)有明コロシアスおよび有明テニスの森で開催中の楽天ジャパンオープンは、4日にシングルス2回戦などが行われ、錦織圭伊藤竜馬の日本勢も登場。伊藤は惜しくも敗れたが、錦織は元世界5位のトミー・ロブレドを5-7、6-1、6-0の逆転で下し、日本人としては同大会6年ぶりとなるベスト8進出を決めた。

総合力の勝利――そう言って良いだろう。ロブレドのいきなりのブレークで始まった試合は、錦織がリターンから攻めて即ブレークバック。その後は両者ともゲームキープをしていくが、優位に進めたのは、ブレークポイントを何度も掴んだ錦織だ。だがその度にロブレドは、200キロを超えるサーブで切り抜けた。突き放せそうで突き放せない……その一瞬の心を隙を、ロブレドが巧みに突く。

5-5からのサービスゲームで、錦織はデュースからバックのミスを2本重ねた。第3ゲーム以降、錦織は5つあったブレークポイントを1つも生かせず、対するロブレドは3つのうち1つをブレーク。流れはロブレドに傾いたように見え、いやな空気が有明コロシアムに漂いはじめた。

だがそのような流れを断ち切れるのが、トップ選手の実力だろう。第2セットの第1ゲームを、サーブを軸にキープすると、続くゲームでは相手のダブルフォルトに乗じてフォアで攻め、一気にブレークに成功する。

「第1セットは緊張もあり足が前に出なかったが、第2セットからはもっと前に出て攻めようと言い聞かせた」。ロブレドのバックにボールを集め、スライスで返ってきた球をフォアに回りこんで逆クロス、あるいはストレートに打ち分ける。この展開に、ロブレドは徐々についていけなくなった。

右足付け根の手術から復帰してきたロブレドは「第2セットから痛みが出た」と試合後に明かしたように、確かに第2セット中盤以降は動きが悪くなっていた。だが、そこは元トップ5の選手である。相手の緩みを少しでも見つけたら、再び息を吹き返しただろう。

だがその機会を、錦織は一切与えなかった。フォアの攻撃性に引っ張られるように、サーブも含め全てのショットが切れを増す。第2セットの3-1からは、攻撃の手を緩めず怒とうの9ゲーム連取。強さと幅の広さを見せつけての、盤石の逆転勝利である。
 
もう一人、ベスト8入りを目指した伊藤竜馬は、ドミトリー・トゥルスノフと対戦。

「強打の選手なので、高低差やテクニックを使って戦いたい」

試合前に伊藤はそう話していた。その戦法は概ね遂行できたし、戦術としても間違っていなかった。だがこの日に限って言えば、トゥルスノフのパワーがさらに上を行った。

それでも、チャンスがなかった訳ではない。第1セット第3ゲームでは、4つのブレークポイントをつかんでいる。だがここを逃すと、続くゲームでブレークを許した。それでも1-4から猛追を見せ、4-4にまで追い上げる。しかし追い上げムードの最中に襲った、雨天による一時中断。本人は「悪い流れにはならなかった」と言うが、最後の最後にブレークされたことを考えると、やや悔やまれる雨である。
 
第2セットは、互いに高い集中力を見せてキープ合戦に。しかし精神的に優位に立っていたのは、サーブ力で勝るトゥルスノフだったろうか。第8ゲームをブレークされると、伊藤はついに力尽きた。

「相手はミスも少なかったし、僕がリードしていても自信がある感じがした」

絶好調の相手と当たったツキの無さを、伊藤は苦笑交じりに恨みもした。だが悩み多き夏を過ごしてきたドラゴンは、日本で上昇気流を掴んだのは間違いない。

※写真は、楽天ジャパン・オープンの2回戦で、トミー・ロブレドを倒した第8シードの錦織圭
Photo by Hiroshi Sato

楽天ジャパン・オープン

シングルス
2回戦

錦織圭[8] 7-5 6-1 6-0 ●トミー・ロブレド(スペイン)

ドミトリー・トゥルスノフ(ロシア) 7-5 6-3 ●伊藤竜馬

ヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)[3] 6-4 6-2 ●マルコ・チウディネリ(スイス)

トマーシュ・ベルディッハ(チェコ)[2] 6-3 7-5 ●アレハンドロ・ファリャ(コロンビア)

ミロス・ラオニック(カナダ)[6] 3-0 Ret’d ●ビクトル・トロイツキ(セルビア)

マルコス・バグダディス(キプロス) 7-5 1-6 6-3 ●フアン・モナコ(アルゼンチン)

[ ]内の数字はシード順位