クルム伊達公子(テニス)
米国カリフォルニア州で開催中のBNPパリバオープンは、現地時間3月9日に女子2回戦を行い、ワイルドカードで出場のクルム伊達公子は第29シードのエレーナ・ベスニナと対戦。6-3、5-7、1-6で破れ、3回戦進出は成らなかった。

第1セットで4つのブレークを奪って快調なスタートを切り、第2セットも混戦から先に抜けだしたのは、クルム伊達だった。昨年末の対戦時の敗戦を踏まえ、ダウンザラインへの速い展開を心がけたクルム伊達は、ネットにも積極的に出てボレーで次々と美しいポイントを決めていく。

そうして4-2とリードし、迎えた自らのサービスゲーム。クルム伊達の勝利は、目前にまで迫っているかに見えた。だが「そこで取らせてくれないのが、彼女(ベスニナ)の実力」だとクルム伊達は断じる。確かに勝負どころの重要な局面でベスニナはミスが減り、前後左右にショットを散らしてクルム伊達を走らせた。第7ゲームは3回、第11ゲームは7回、第12ゲームも2回のデュースを重ねる大熱戦となるが、そのいずれをも制したのはベスニナだった。
 
第3セットに入るとクルム伊達の動きは目に見えて落ち、3ゲームが終わった時点でメディカルタイムアウトを要求する。「ハムストリングに張りが出てきた。相当走っていたので、痛みはその前からあった」という苦境にあっては、さすがのクルム伊達でも巻き返すのは難しい。第1セットは48分、第2セットは1時間6分を要した熱戦も、第3セットは35分で幕を閉じた。

最近好調のシード選手相手に、あと少しの所で勝利をつかみそこねた。「こういうチャンスはそうそうある訳ではないので……」と42歳のチャレンジャーは悔しさを隠さないが、同時に「ケガにつながる痛みは今のところない。テニスの調子も戻ってきている」と少なからず収穫も得ている。

得た手応えを次なる戦いへの活力にし、未踏の地を拓く戦いは続く。

※写真は,BNPパリバ・オープンのシングルス2回戦で世界ランク30位のベスニナにフルセットで惜敗したクルム伊達公子
photo by hiroshi sato