錦織圭(テニス)
米国カリフォルニア州で開催中のBNPパリバ・オープンは、現地時間3月10日に男子2回戦を行い、第16シードの錦織圭は予選あがりのフィリップ・ペッチュナーと対戦。6-3、6-2で快勝し、3回戦へと歩みを進めた。

2週間前のデルレイビーチ選手権初戦で棄権して以来、最初の試合。その棄権の原因となった腹筋はまだ完治しておらず、サービスは100%では打てない状態。そして相手は格下とは言え、予選を勝ち上がり調子が上向いている選手。錦織にしてみれば、不安材料の多い試合だったはずだ。

「棄権して最初の試合だったし、立ち上がりは不安はありました」

本人もそう認め、実際に無理をせず打つサービスは、時速100マイル(約160km)前後しか出ていなかった。それでも完勝できるところに、今の錦織の強さがある。

サービスでは、ほぼスライスでリターンを打つ相手のバックを狙い、一発のウィナーを避ける作戦を取った。ストローク戦に持ち込めば、組み立ての妙でもショットの質でも錦織が遥かに上回る。懸案の腹筋の痛みもサービス以外には影響はなく、試合が進むにつれフォアのストロークは鋭さを増していった。

サービスに不安を抱えながらも許したブレークは1つだけ。エースは1本も無くとも、ファーストサービスでのポイント獲得率は約7割を記録。試合時間1時間12分の省エネ勝利でもある。一つの武器を封じられても、他で十分に補える懐の深さと、シード選手の実力を見せつけた。

「まだサービスは全快とはいえないけれど、あの状態でも勝てたのは良かった」

そう復帰戦を振り返る錦織が3回戦で対戦するのは、シード選手のドルゴポロフを破った、ベルロック。今年1月の全豪でも対戦し、その時は錦織がストレートで勝っている。

「ベルロックはグリグリのストローカーなので、自分から打ち分けて、速い展開に持ち込みたいです」

視線は早くも、次に向けられている。

※写真は,BNPパリバ・オープンのシングルス2回戦で予選を勝ち上がってきたペッチュナーにストレートで完勝した錦織圭
photo by hiroshi sato