日比万葉
ニューヨークで開催中の全米オープンは5日にジュニア男女3回戦を行い、カリフォルニア在住の17歳・日比万葉が、Jr.ランキング32位のケティー・ボウトラーを6-1、6-0で破りベスト8に進出。男子の西岡良仁は、フランスのケンタン・アレイの高速サーブに押され2-6、0-6で敗れた。

日比万葉(ヒビマヨ)――。耳に心地よいこの風雅な名には、父親の「女の子なので、柔らかい響きにしたい」という優しさと、「運勢が良い字画を与える」という未来への願いが込められている。そんな親の希望通りに育った心優しい少女は、一度コートに入ると「私の武器は“頭”と“気持ち”」と言い切る勝負師に豹変する。

それが顕著に現れたのが、第1セットのゲームカウント3-1で迎えたサービスゲーム。バックの高い打点を攻められた日比はリズムがつかめず、抜け出しては追いつかれ、追い抜かれては追いかける厳しい精神戦が展開された。数えたデュースは7回、握られたブレークポイントは4本。ジリジリする神経戦の中、日比は決定機を逃しても“気持ち”を切らさず、得意の片手バックハンドから放つスライスと中ロブを“頭”で組み立て、最後はサーブを2本決めて突き放した。

「あそこを取ると取らないでは、1つのゲームというだけでなく、自信や相手との関係も変わってくる」

最大のターニングポイントをもぎ取り優位に立った日比は、後は崩れる相手を尻目に、快調にポイントを重ねていった。スコアで圧倒しても油断はなく、以降は1ゲームも与えず勝ちきる“キラーインスティンクト”も示してみせる。初めて出場したグランドスラムJr.で、ベスト8へと堂々歩みを進めた。

日比はジュニアランキングこそ68位だが、一般のWTAランキングは259位。ITF5万ドルでも優勝するなど既に大人の世界で揉まれ、ツアープロたちと凌ぎを削っている。それだけに「ジュニアの方が緊張する」とも言うが、今大会では試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げてきた。

「試合ごとに自信は大きくなっているし、11シードなので優勝しなくてはというプレッシャーも無い。出るからには、優勝したい」

名前同様に柔らかな声の響きに乗せて、力強く目標を言葉にした。

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※写真は、ベスト8に進出した日比万葉
写真/佐藤ひろし