4月27日(日)、錦織圭がバルセロナ、スペインで行われている男子テニスツアーバルセロナ・オープンに優勝した。この大会はクレーの王者、過去8回優勝しているナダルなどクレーを得意としているスペインの選手など沢山出場していた大会だったが、その中で見事優勝を飾った。優勝賞金43万ユーロ(約6千万円)。
錦織にとってクレーでは初優勝、今年2月の全米室内に続き、2大会目(クーヨンのエキジビションも優勝しているのですれを数えると3大会)。ツアー5勝目だ。
この優勝で錦織のランキングは12位にカンバック、目標のトップ10入りが見えてきた。

錦織は3月に行われたソニーオープン、準々決勝でフェデラーを破るが、股関節の怪我で準決勝ジョコビッチ戦、続くデ杯チェコ戦をやむなく棄権、これが約1ヶ月ぶりのツアー復帰戦だった。辛い決断の後の優勝。

おめでとう錦織圭!

その時の辛い選択はテニスクラシック6月号(5月4日発売予定、p5)に掲載されている。その辛かったが、潔い決断がこの結果をもたらした。

<錦織圭バルセロナオープン優勝 決勝詳細>
〇4)錦織圭 6-2 6-2 ●S.Giraldo(COL)

ヒラルドのサーブで始まる。
ピンクのラッキー・シャツを着ている。
昨日アルマグロを破った時のラッキー・カラーのシャツだ。

この大会、第1シードは地元スペインのナダル。
ナダルは2003年16歳で初出場、2回戦でコレッチャに負けたが、それ以来は出場の度に優勝。その回数は8回、負け知らずだった。
今回も1セットも落とさず8強。準々決勝でも第1セットを取っていたのだが、アルマグロの粘りに、6-2,6-7(5),4-6と逆転負け。
実に11年ぶりに土をつけられた。

クレーコート負け知らずのナダルを破った地元スペインのアルマグロに期待がかかるが、なんとアルマグロは前日の3時間の激戦の疲れか、ヒラルドに5-7,3-6のストレート負けを喫してしまう。

ヒラルドが思い切りの良いテニスをしてキープ、1-0だ。
初の決勝進出、対戦相手は格上の錦織、失うものはない、と迷いのないテニスをする。

クレーでは初、歴史ある大会での優勝がかかっている錦織の方がやや固い感じだ。
40-15からミスが続きデュースにしてしまう。
他方ヒラルドは2度目のデュースでフォアの回り込みショットを決めてブレーク・ポイントを握る。
錦織はフォアの逆クロスをワイドに、なんとサーブを落とし、錦織0-2とピンチだ!

錦織対ヒラルドの対戦成績は錦織の4勝1敗。日本では昨年9月有明で行われたデ杯ワールドグループ、入れ替え戦で戦い錦織がストレートで勝利している。錦織の分が良いがヒラルドはそれら経験を生かし思い切り戦っている。

15-15からバックのクロスラリーの打ち合いが続く、錦織のバッククロスに「アウト」のコールがある。
ライン上ギリギリだった。
主審はすぐ審判台から降り、マークを確認する。そして「セーフ」のジェスチャー、15-30とコールする。

アウトのコールがなければラリーが続けられたとヒラルドは抗議する。
実際にスローを見るとヒラルドはラリーが続けられたような感じだ。

「コールがなければ続けられた、錦織のポイントではなく、やり直し15-15だ!」と熱くなり主審に抗議するヒラルド。
しかし15-30のスコアは変わらない。ここから流れが変わり始める。
同じような所へのクロスラリー後、錦織はバックのドロップ・ショットを決め15-40とブレーク・チャンスを掴む。
なんとヒラルドはダブルフォルト!錦織がすぐにブレーク・バックした。
大きなゲームだ。ヒラルドはコートチェンジでも主審に抗議している。

落ち着いてきた錦織はフォアのドロップ・ショットなどを決める。
ゲームポイトは22回のラリー戦が続き、最後はヒラルドがネット。(2-2)

2-2、ヒラルドはバックをネット、15-40と錦織がブレーク・ポイントを握る。
30-40、錦織はバックのダウン・ザ・ラインを決めてブレーク、3-2とリードだ!

25回のラリー戦を錦織が制し、40-30
ヒラルドのバックはロング、錦織が4-2とキープした。

第7ゲーム、ヒラルドのダブルフォルトで30-30、
前にでてきたヒラルドを錦織はフォアのクロスにパスを決める。30-40、
ヒラルドは思い切り良いフォアのクロス・ウィナーでデュースにする。

錦織はバックのドロップ・ショットを決め、2度目のブレーク・ポイント、
ラリー戦、フォアの鋭角クロスを決めてまたブレーク、5-2だ!

連続ナイス・サーブで第1セットを6-2で取る。

第2セット

ヒラルド40-15から錦織はフォアのダウン・ザ・ラインを決め40-30、
ここでヒラルドは今日3本目のダブルフォルト、デュース。
ヒラルドのボールはアウト、錦織のブレーク・ポイント、
ここで錦織はヒラルドのセカンド・サーブを思い切りフォアに回り込みダウン・ザ・ラインにリターン・エースを決める。
またブレーク、しかも相手のサーブ40-15からのブレークだ。

錦織キープし、8ゲーム連取、2-0だ。

1ゲームをキープできたヒラルドは開き直って攻め始め、デュースに持ち込むが、錦織が踏ん張りナイス・キープ(錦織3-1)。

ラリー戦が続くが、ヒラルドのストロークがロングで錦織がブレーク・ポイントを握る。
オンラインになった錦織のショットをヒラルドは打ちそこねる。錦織またブレーク、4-1だ!!

ヒラルドはダブルフォルトを恐れずダブル・ファースト・サーブを放つなどしてキープする。(錦織5-2)

5-2、錦織のサービング・フォ・ザ・マッチは40-0とチャンピオンシップ・ポイントがくる!
錦織はセカンド・サーブをTへ、しかしダブルフォルト!40-15、
ファースト・サーブが入らない。
セカンド・サーブからラリーでフォアをネットしまい40-30、(心配でドキドキする)

3度目のチャンピオンシップ・ポイント、ファースト・サーブはフォルト。
セカンド・サーブからフォアのクロスへ、そして短く返ってきたボールをバックでクロスに放つ、ヒラルドはそれを追いバックで返そうとするがそのショットはネットを越えない!
その瞬間、錦織はコートにしゃがみ込み、右こぶしを何度も握りしめ、喜びを表した。

「スペイン語でスピーチできないけど、この歴史ある素晴らしい大会に優勝できて嬉しい。誇りだ。」と錦織。偉大なプレーヤーを輩出した61回の歴史ある大会で優勝を決めた。
昨年までナダル始めスペイン選手が11連勝(その内8回はナダル)していたクレーの大会で日本の錦織圭が堂々と優勝した。

今後の錦織の予定は5月5日からのマドリッド・オープン
5月12日からのイタリアン・オープン
5月25日からのフレンチ・オープンと続く。

錦織 圭 ブログ
錦織 圭 データー 1989年12月29日生まれ、24歳

大会名:バルセロナ オープン
ATPカテゴリー:€2,200,000 ATP Tour 500
会場:バルセロナ、スペイン
バルセロナ現地時間(時差-7時間)
期間:04/21-4/27,2014

<決勝>
〇4)錦織圭 62 62 ●S.Giraldo(COL)

<準決勝>
〇S.Giraldo(COL) 75 63 ●6)N.Almagro(ESP)
〇4)錦織圭 62 64 ●9)E.Gulbis(LAT)

<準々決勝>
〇6)N.Almagro(ESP) 26 76(5) 64 ●1)R.Nadal(ESP)
〇S.Giraldo(COL) 64 4-3ret. ●10)Kohlschreiber(GER)
〇4)錦織圭 61 63 ●12)M.Cilic(CRO)
〇9)E.Gulbis(LAT) 61 64 ●T.Gabashvili(RUS)

<3回戦>
〇1)R.Nadal(ESP) 63 63 ●I.Dodig(CRO)
〇6)N.Almagro(ESP) 63 63 ●11)F.Verdasco(ESP)
〇S.Giraldo(COL) 46 64 75 ●Q)D.Thiem(AUT)
〇10)Kohlschreiber(GER) 75 63 ●J.Melzer(AUT)

〇12)M.Cilic(CRO) 75 67(3) 76(5) ●5)T.Robredo(ESP)
〇4)錦織圭 60 64 ●A.GOLUBEV(KAZ)
〇9)E.Gulbis(LAT) 75 61 ●A.Montanes(ESP)
〇T.Gabashvili(RUS) 64 62 ●W)I.Cervantes(ESP)

<2回戦>
〇4)錦織圭 61 46 63 ●BAUTISTA-AGUT(ESP)
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(記事 テニスジャパン 塚越 亘 写真barcelonaopenbancsabadell.com)