錦織圭がUSオープンで第3シード、今年の全豪チャンピオンのヴァブリンカ(スイス、29歳)を3-6,7-5,7-6(7),6-7(5),6-4で破った4時間15分の試合詳細。

午後3時13分、ヴァブリンカのサーブで始まる。

少し硬さが見られる錦織は第2ゲーム、自分のサーブを落としてしまう。(0-2)

朝の2時半に終わったラオニッチ戦後、眠りについたのが朝の6時。
その疲れが残っているのか?

ヴァブリンカは強打で押さえ込もうとはせず、錦織に打たせ、丁寧にコーナーにボールをつなぐ。
彼のバックハンドは角度やペースがものすごい。
そして隙が見えるとカウンターを放つ。

「ヴァブリンカのバックハンドのクロスはアングルが強く外に伸びてくる。
これをダウン・ザ・ラインに持って行くのは難しかった」と錦織。

その史上最強の片手打ちバックハンドに第1セットを3-6で持ていかれる。

第2セット

今日初めラブでサービスゲームをキープ。

3-3、錦織のサーブ、ヴァブリンカにブレーク・ポイントを2本握られる。
「ビッグチャンス!」だったとヴァブリンカはこのゲームをくやしがる。

ヴァブリンカは深くスピンの効いた、それでいて勢いのあるストロークで攻撃したが、錦織は踏ん張った。

錦織はヴァブリンカのボディーめがけてサーブを放ち、甘くなったリターンからラリーの主導権を握る。
しかし、狙いが数インチずれると、深いボールがベースライン付近に落ちイーブンに戻される。

このセットはここまで全くの互角、観客の歓声も同じ量の声援が2人に送られている。

このまま両者サービスキープでタイブレークに突入かと思われた第12ゲーム、
ヴァブリンカのサーブ、30-30、
両者の激しい打ち合いでヴァブリンカはバックハンドのミスを犯し30-40、
錦織にセットポイントがきた!

セットポイントでプレシャーを感じたのか、ヴァブリンカは痛恨のダブルフォルト!
錦織はわずかなチャンスをものにし7-5で取り返した。

第3セット

ここから観客の錦織への歓声も一段と大きくなり、大きく流れが変わり始める。
錦織のサーブから始まる第1ゲームでバックボレーを決め、40-0としたとき、スクリーンに大きく錦織のトータルウイナーが12本と表示される。
サービス・エースをダウンラインに決めてラブゲームで錦織はサービスキープした。

このまま引き離したい所だが、ヴァブリンカも踏ん張る。
錦織が「ラオニッチ戦と比べて、ストロークの数が格段に多く、予想はしていたがタフだった」と語ったように、
バックハンドのスライスを多く混ぜて、錦織の攻撃をかわそうとしてくる。

ゲームカウント2-2、2人ともベンチに歩み寄りラケットをストリングが新しいものと交換する。

2人同時にラケットの入った袋をバックから取り出し、同じタイミングでビニールの袋から新しいラケットを取り出してベースラインへ戻って行く。
なにか1つの儀式を見ているような不思議な光景、
両者共に高い集中力のようなものを感じる。

ヴァブリンカのサーブ、第6ゲーム、
それまでの激しいストローク戦で疲れが出て来たのか、ヴァブリンカのペースが落ちている。

錦織はそこを見逃さず15-40からの短い球を回り込み、フォアハンドでインサイドアウトにウィナーを奪う。
サーブをブレーク4-2!

このまま錦織がこのセットを奪うようにも見えたが、
5-3、錦織のサービスで15-30のポイント、
ヴァブリンカのロブを錦織はネットに背を向けながらtweener(股抜きショット)をトライする。

この試合を解説していたマッケンローは「ここではこんな難しいショットは無駄、確実に返すべき」と言う。
股抜きショットはネットで15-40。
直後のポイントで錦織のショットはベースラインを割、錦織はサーブを落とす。

サービスブレークに成功したヴァブリンカは大きな雄叫び!
エンターテイメントでも大きく楽しめたこのゲームに観客の割れんばかりの拍手と声援がとぶ。

タイブレークに突入してから錦織が一歩リードし3-1、
しかしヴァブリンカもサーブをクロスに上手く使い4-5、

錦織も相手のリターンを攻めて6-5とこのゲーム2度目のセットポイント、

パスをヴァブリンカは決める 6-6。
凄いバトルだ!

19回目ショットは錦織のラケットを弾く、ヴァブリンカ7-6、
今度は錦織がバックのダウン・ザ・ラインを決め返す、7-7。

5回目 ヴァブリンカはフォアをふかす、8-7、3度目のセットポイント、
ヴァブリンカ、バックをふかし、9-7でタイブレークを取った。

セットカウント 2-1だ!

第4セット

いよいよ勝利が見え始めた錦織はこの勢いに乗りたいところ。
ゲームカウント1-2で、錦織は右足のインジュリータイムアウトを使い、自分でも足の指のテープを交換する。
その後も問題はなさそうで、両者共にほぼストレートでサービスキープが続き2-2。

錦織のサービスゲームでヴァブリンカにアドバンテージを握られ、
次のポイントでヴァブリンカにバックハンドのダウン・ザ・ラインへのウィナーを狙われるが、
サイドラインを割ってこのままサービスキープ、3-3。

錦織は相手のサービスゲームで何とかサービスブレークを試みるも、
試合後にヴァブリンカが言っていたように、このセットに入ってヴァブリンカはサーブのペースを少し落とし、
クロスにオープンコートを作る戦術を取る、
それが上手くハマっているように見える。

お互いのサービスキープが続き4-4。
試合時間は3時間を過ぎ、コートの3階席にある手すりのガラス板に西日が反射している。

お互いに疲労が出ていると思うが第11、第12ゲーム、両選手とも40-0からストレートでサービスをキープ、6-6。

タイブレークへ。

錦織のリターンからタイブレークが始まったが、連続でポイントを4つ落とし0-4。

錦織も踏ん張りネットプレーも混ぜ4ポイントを連取して4-4。

ヴァブリンカはワワイドに狙っていたサービスを一転、錦織のボディーに狙いラリーの主導権を握る。
タイブレークはヴァブリンカが7-5で手にする。

ファイナル・セット

過去に2回、錦織に勝利しているヴァブリンカ、
「2年前と今のKeiは全く違う。」
錦織を警戒して集中力や戦術ともに全く緩みが見えない。

ヴァブリンカに流れが傾いたようにも見える。

2試合続けて5セットの試合をする事は体力的にも大変だ。

1-1、錦織のサーブ、ストロークのエラーが続き15-40とピンチ!
錦織はバックとファハンドのクロスへのエース2本でデュースに、
チャレンジの失敗もありながらここで錦織は踏ん張り2-1。

ヴァブリンカもサービスゲームでは安定したプレーをみせて3-3。

ヴァブリンカはかって、文句を言うなど集中力を乱す場面も少しあったが、
オーストラリアン・オープンに優勝してからは、チャンピオンとしての精神面で余裕が出て来たのか、精神的になかなか乱れない。

対する錦織は、試合後に「4セット目を取られた時は凄く悔しかった。」が、「それを忘れて第5セットに入るように心がけた。」とも言っていた。

第7ゲーム以降は「しっかり重心を落としてからスイングすることを心がけた。」との通りに、
ストロークでウィナーを取りに行く時のスイングのスピードは後半でも全く衰えていない。

第7ゲームの途中、ヴァブリンカのショットがネットの白帯に当たり、錦織のサイドに戻ってきたアンラッキーなショットに天を仰ぐ仕草を見せる錦織。
しかしここでも乱れずに3ポイント連続で奪い4-3。

「今朝起きた時はラオニッチ戦での疲れはほぼとれていて、体調はとてもよかった」と後で語る様に、
第9ゲームでもよく動きストレートでサービスゲームをキープして5-4。

第10ゲーム、ヴァブリンカのサービスゲームで、
「Keiに大事な場面でプレシャーをかけられ、そのため hesitate(躊躇)したプレーをした。」と、
得意のバックハンドで2本のエラーがでて15-30。

そして連続した錦織のアグレシッブなプレーに根負けしたか、ヴァブリンカはダブルフォルトを犯し、
15-40、錦織はマッチポイントを握る。

そして30-40からのセカンド・サーブに、錦織は強烈なリターンでストロークの主導権を握り、
ヴァブリンカをサイドに大きく走らせてミスを誘い、
劇的な勝利をおさめた。

「勝って握手をした直後は疲れてヨロヨロだった」と錦織。

「でも自分のチームの席を見たらマイケルがガッツ・ポーズをしていた」それにつられたのか、両手を天に向けて喜びを表現した。

勝った錦織は9月6日(土)12時から決勝進出をかけて、世界一のジョコビッチと対戦する。二人の対戦成績は1勝1敗

<2014年USオープン準決勝>
10)錦織圭 vs 1)N.DJOKOVIC(SRB)
2)R.FEDERER(SUI) vs 14)M.CILIC(CRO)

これに勝ち決勝に進むと、決勝は現地9月8日(月)の17時から、日本時間では9日(火)朝の6時からだ。(時差-13時間)

大会データー:2014 USオープン
会場:Billie Jean King ナショナル テニスセンター、NY、アメリカ
賞金総額:$36,000,000(約40億円)
優勝賞金:(約2億円、男女同額)
128ドロー、ハード
予選8/19-8/23,2014
本戦8/25-9/08,2014
大会日程
現地時刻(時差-13時間)
オーダー・オブ・プレー
ライブ・スコア

<準決勝>
10)錦織圭 vs 1)N.DJOKOVIC(SRB)
2)R.FEDERER(SUI) vs 14)M.CILIC(CRO)

<準々決勝>
〇1)N.DJOKOVIC(SRB) 76(1) 67(1) 62 64 ●8)A.MURRAY(GBR)
〇10)錦織圭 36 75 76(7) 67(5) 64 ●3)S.WAWRINKA(SUI)
〇14)M.CILIC(CRO) 62 64 76(4) ●6)T.BERDYCH(CZE)
〇2)R.FEDERER(SUI) 46 36 64 75 62 ●20)G.MONFILS(FRA)

<男子4回戦>
〇1)N.DJOKOVIC(SRB) 61 75 64 ●22)KOHLSCHREIBER(GER)
〇8)A.MURRAY(GBR) 75 75 64 ●9)J.TSONGA(FRA)
〇3)S.WAWRINKA(SUI) 75 46 76(7) 62 ●16)T.ROBREDO(ESP)
〇10)錦織圭 46 76(4) 67(6) 75 64 ●5)M.RAONIC(CAN)

〇6)T.BERDYCH(CZE) 61 62 64 ●D.THIEM(AUT)
〇14)M.CILIC(CRO) 57 76(3) 64 36 63 ●26)G.SIMON
〇20)G.MONFILS(FRA) 75 76(6) 75 ●7)G.DIMITROV(BUL)
〇2)R.FEDERER(SUI) 64 63 62 ●17)BAUTISTA AGUT(ESP)

<男子3回戦>
〇1)N.DJOKOVIC(SRB) 63 62 62 ●S.QUERREY(USA)
〇22)KOHLSCHREIBER(GER) 76(4) 46 76(2) 76(4) ●13)J.ISNER(USA)
〇9)J.TSONGA(FRA) 64 64 64 ●CARRENO BUSTA(ESP)
〇8)A.MURRAY(GBR) 61 75 46 62 ●A.KUZNETSOV(RUS)

〇3)S.WAWRINKA(SUI) w/o ●B.KAVCIC(SLO)
〇16)T.ROBREDO(ESP) 36 63 76(4) 63 ●N.KYRGIOS(AUS)
〇10)錦織圭 64 62 63 ●23)L.MAYER(ARG)
〇5)M.RAONIC(CAN) 76(5) 76(5) 76(3) ●ESTRELLA BURGOS(DOM)

〇6)T.BERDYCH(CZE) 63 62 64 ●T.GABASHVILI(RUS)
〇D.THIEM(AUT) 64 62 63 ●19)F.LOPEZ(ESP)
〇14)M.CILIC(CRO) 63 36 63 64 ●18)K.ANDERSON(RSA)
〇26)G.SIMON 63 36 61 63 ●4)D.FERRER(ESP)

〇7)G.DIMITROV(BUL) 06 63 64 61 ●D.GOFFIN(BEL)
〇20)G.MONFILS(FRA) 64 62 62 ●12)R.GASQUET(FRA)
〇17)BAUTISTA AGUT(ESP) 75 62 63 ●A.MANNARINO(FRA)
〇2)R.FEDERER(SUI) 46 61 61 61 ●M.GRANOLLERS(ESP)

<男子2回戦>
〇10)錦織圭 64 61ret. ●P.ANDUJAR(ESP)
17)F.LOPEZ(ESP) 64 36 64 76(4) ●Q)伊藤竜馬

<男子1回戦>
〇10)錦織圭 62 64 62 ●W.ODESNIK
〇Q)伊藤竜馬 62 36 57 4-1ret. ●S.JOHNSON(USA)
〇5)M.RAONIC(CAN) 63 62 76(1) ●Q)ダニエル太郎
P.LORENZI(ITA) 61 62 21ret. ●Q)西岡良仁
男子ドロー
男子予選ドロー

女子ドロー
女子予選ドロー

錦織 圭 ブログ
錦織 圭 データー1989年12月29日生まれ、24歳

クルム伊達組 ダブルス4強!
<準決勝>

〇 kuクルム伊達/STRYCOVA(CZE)
女子ダブルスドロー

クルム伊達公子 ブログ
クルム伊達公子 データー 1970年(昭45年)9月28日生まれ、43歳

(記事テニスジャパン塚越 亘&倉科篤志 photo W.Tsukagoshi/CanonEos7D)