ともに1987年生まれの27歳。誕生日が2週間しか違わない田中真梨(橋本総業)と久見香奈恵(フリー)。2人は小学生時代から戦っていた。その2人が全日本の2回戦で初対戦。この一戦は田中が7-6(4).6-2で久見を振り切った。田中は12回目の出場となる全日本で2年連続のベスト8入りを決めた。

 田中は期待されたジュニアだった。初めて全日本に出場したのは高校1年のとき。高校2年、3年ではインターハイを連覇している。伊達公子を筆頭に、強かった時代の日本女子選手たちは、インターハイで優勝すると確実に世界に出て行った。と言うよりも、インターハイに優勝した選手なら間違いなく世界のトップ100をクリアしていた。そんな流れを断ち切ってしまったのが、酷な言い方をすれば田中だったかもしれない。

 才能があるのは誰もがわかっている。しかし、田中は試合で結果を出せない。気持がやさしいのだ。全日本でベスト8まで勝ち上がったのは初出場から11年目の昨年。初めてベスト8の壁を突破した田中は今年は1回戦で昨年準優勝の第3シード、今西美晴(島津製作所)に逆転勝ち。そして久見も下して2年連続でベスト8入りを果たした。

 27歳になった田中だが、今はキャリアの中でもかなり良い感じを掴んでいる。目標としているのは全日本の優勝とグランドスラム大会への出場。今西戦でも、久見戦でも「いつも通りにやれば」と思っていた。翻訳すれば、勝つ自信があったということだ。

 全日本選手権で新スポンサーとなった橋本総業。全日本には6人が所属契約している。田中はそのチームでキャプテンだ。「応援が多くて力になっている」と田中は言う。遠回りした才能が今年の全日本で再び光り輝くのか? 次の対戦相手は、第6シードの瀬間詠里花(Club MASA)だ。