1/28(日) 2018全豪オープン 男子決勝

優勝者として会見室に現れたフェデラーのTシャツには、“20”の数字があしらわれていた。
誰もが想像すら及ばなかった、男子選手の20のグランドスラム優勝回数。
しかも今回の全豪オープンは、テニスのオープン化以降、ちょうど200大会目のグランドスラムだった。
その記念すべき区切りの大会で、ロジャー・フェデラーが20の金字塔を打ち立てた。

夕方6時を過ぎても気温は30度以上を記録し、風もなく“体感気温指数”が一向に下がる気配を見せぬ日曜日のメルボルン。
その気象状況に鑑みて、大会は「ヒートポリシーを適用し、屋根を閉め空調を入れる」ことを決断した。

<<男子決勝>>

〇2]R.フェデラー 62 67(5) 63 36 61 ●6]M.チリッチ

灰色の屋根に覆われ照明が光り、気温の低いその決勝戦の環境に、戸惑いを見せたのはロッドレーバー・アリーナでの試合経験に劣るチリッチの方。
「想像していたより遥かに涼しく、立ち上がりはアジャストするのが難しかった。
特に、決勝戦のような舞台では……」

緊張感に加え練習時とは異なるコート上の空気が、チリッチを戸惑わせる。
武器のサーブにキレがなく、バックハンドのミスも目立った。
試合開始から20分も経たぬうちに、たちまちスコアは4-0に。
第1セットは僅か24分で、フェデラーが奪い去った。

アリーナを埋めた観客の多くが歴史的快挙の目撃者となることを願うと同時に、好勝負を期待もする。
第2セットに入ると、チリッチの奮起を促す声援が音量を増し始めた。
頃を同じくして、環境にも慣れ落ち着きを取り戻したチリッチが、第2セットの第3ゲームでブレークの危機を切り抜けた頃から、試合は突如として熱を帯びていく。
タイブレークでは、リスクをとりフォアで攻める勇気が報われ、チリッチが第2セットを取り返した。

それでも全体の流れで見れば、ショットバリエーションとサーブの安定感に勝るフェデラー優勢に変わりはない。
第3セットはフェデラーが奪い、第4セットも相手のミスに乗じて最初のゲームをブレーク。
これで、試合は決したかに思われた。

ところがここから、フェデラーにミスが増え始める。
今大会、ここまでセットを落とすことなく勝ち上がり、終始リラックスしているかに見えたフェデラーだが、緊張状態を経験しなかったことが逆に不安材料となり、
さらには“20”という数字が重くのしかかっていたという。

「もしこの試合で負けたらどんな気分になるんだろう、周囲の人達はどう思うんだろう……そんなことを朝から考え続けてきた」
周囲からは窺い知ることの出来ないプレッシャーが、あのフェデラーの手元を狂わせていた。

第4セットはチリッチの手に。
そしてファイナルセットでも、チリッチが最初のゲームで2度のブレークチャンスをつかんだ。

だがこの最大の危機を切り抜けたことが、決勝戦最後のターニングポイントとなる。
チリッチは「あのゲームを落としたことで落ち込んでしまった」と認める。
続くゲームをブレークしたフェデラーが、アリーナを埋め尽くす大声援を背に受けて、白銀のトロフィーが待つフィニッシュラインを駆け抜けた。

表彰式でトロフィーを抱えスピーチをするフェデラーは、その第一声から涙声だった。
「20回も優勝できたなんて、信じられない。フェアリーテイル(おとぎ話)は終わらなかった」
前人未到を成し遂げても、未だ衰えぬモチベーションを推進力として、フェアリーテイルは続いていく。

2018全豪オープン
本戦:1/15(月) – 1/28(日)

<<男子決勝>>
〇2]R.Federer(SUI) 62 67(5) 63 36 61 〇6]M.Cilic(CRO)

<<準決勝>>
〇6]M.Cilic(CRO) 62 76(4) 62 ●K.Edmund(GBR)
〇2]R.Federer(SUI) 61 5-2ret. ●鄭現(KOR)

<<準々決勝>>
〇6]M.Cilic(CRO) 36 63 67(5) 62 2-0 ret. ●1]R.Nadal(ESP)
〇K.Edmund(GBR) 64 36 63 64 ●3]G.Dimitrov(BUL)
〇鄭現(KOR) 64 76(5) 63 ●T.Sandgren(USA)
〇2]R.Federer(SUI) 76(1) 63 64 ●19]T.Berdych(CZE)
男子本戦ドロー
男子予選ドロー
男子ダブルスドロー

その他 本戦ドロー

全ての人に感謝、とフェデラー、感極まった涙がとまらない

20回のグランドスラム大会優勝を飾ったフェデラー、5年間、グランドスラム大会優勝している計算になる。

「おとぎ話が続いている。
全ての人に感謝している」。と言うとフェデラーは感極まって涙が。
フェデラー、涙が止まらないスピーチ

かっては一番貧弱なグランドスラム大会と全豪オープンは言われていたが、年々改良され良くなっている。
その上、オーストラリアは他国民にも寛容だ。
おおらかさ、居心地の良さ、歓迎心
それらもフェデラーを感傷的にしたのだろう。

それにしてもフェデラーは純粋だな~!
その純粋さ、ひたむきな姿勢が男子テニスをここまで育ててくれたのだろう。

感激的なフィナーレだった。

14日間の観客数743,667人
ロッドレーバー・アリーナの収容可能観客数は15,000人、それにもかかわらず、決勝日には22,973人が全豪オープン会場に押し寄せた。
会場はテニスのテーマパークのようだ、テニスラケットを持ったディズニーキャラクター達の遊び場もあり、幼児から楽しめる。
この日もマーガレットコートはセンターコートに入れない人達のパブリックビューイングの場となっていた。
14日間で入場者数は743,667人と前年の728,763人を越えて記録を塗り替えた。

記事:塚越亘/森下泰/小林粛/塚越景子 写真by H.Sato/TennisJapan

グランドスラム大会優勝回数 20回!