ロッド・レーバーアリーナのナイトセッション、地元の英雄レイトン・ヒューイット(30歳、オーストラリア)と、長年アメリカンテニスの看板を背負ってきたアンディ・ロディック(29歳、米国)の試合は、意外な形で幕を下ろした。第3セットを4-6で失い、セットカウント1-2とヒューイットに逆転された時点で、ロディックがハムストリングの故障の悪化で試合を棄権したのだ(3-6、6-3、6-4)。


「僕は10年近くずっと故障なしでやってきたけど、この数年は怪我が増えてきた。辛いよね。フィジカルはもちろん、メンタル面でも。本当にタフになってきた」とロディックは試合後に話しているが、ロディックが棄権を決断したのは、「あと2セット続けた後の反動」を考えたのだという。シーズンは長い。ここで怪我を悪化させて何ヶ月も出られなくなるか、数週間で復帰できる程度の間でストップするか。試合中の彼は、それらを秤にかけながら戦っていた。今の厳しいツアーを戦い続けなければならない、選手たちの置かれた現実の一面だろう。
フランス勢同士の対戦となったジュリアン・ベネトー(30歳、フランス)対、第12シードのジル・シモン(27歳、フランス)は、7-5 7-6(8) 1-6 3-6 6-2というスコアの叩き合い。2セットダウンから逆襲したシモンだったが、最後はベネトーに逃げ切られた。ベネトーの次の相手は錦織圭(22歳)だ。
その錦織は、地元選手のマシュー・エブデン(24歳、オーストラリア)を相手に大苦戦。3-6 1-6 6-4 6-1 6-1での大逆転勝利だったのだが、最初の2セットは流れが悪く、ほぼ完全に相手に試合を支配されていた。錦織が勝てたのは、勝つための手段を最後まで考え続け、実行する能力が今の彼にあったこと。まずはペースやリズムを変えて打ち合いを増やし、武器であるフォアを活用する。言葉にすればこんな感じのことではあるが、それができるかどうかはまた別の話で、相手を巻き込めなければどんな策も失敗で終わる。錦織の成長ぶりを示した一戦だったと言っていいだろう。
ノバク・ジョコビッチ(24歳、セルビア)やダビド・フェレール(29歳、スペイン)など、その他の上位陣は危なげなく勝ち、3回戦へと進出した。
グランドスラムではさらにその次の4回戦が山場となる。強敵との最初の対戦はこの辺りで起き、いわゆる「2週目」進出がかかってくるからだ。引き続き激戦が続く全豪男子はやや、サバイバルマッチの様相となってきている。
※ハムストリング:人間の下肢後面を作る筋肉の総称(Wikipediaより)