24日、全豪オープンは女子シングルスの準々決勝が行なわれた。第1シードとはいえ、この試合に負ければナンバー1の座から転落することが確実になっていたキャロライン・ウォズニアッキ(21歳、デンマーク)にとって、どうしても勝ちたい試合だったのは間違いない。しかし、目の前に立ちふさがった相手は、彼女にとっては最悪の強敵だった。


キム・クライシュテルス(28歳、ベルギー)とウォズニアッキが戦えば、攻撃力のクライシュテルスと、守備のウォズニアッキという側面が目立つが、クライシュテルスの守備力もテニス界屈指。ウォズニアッキがどれほど粘ろう、あるいは崩そうとしても、クライシュテルスはすべてのボールを拾い、少しでも甘いチャンスボールを与えれば、即座に反応してウイナーを放って来る相手。守っていても崩れてくれず、つなごうとすれば叩かれる。ウォズニアッキのテニスが通用しない相手なのだ。
結果から先に言えば、6-3 7-6(4)でクライシュテルス。スコアは接近しているが、ウォズニアッキに勝ち目があったかと言えばそうとは思えない。フルセットに持ち込めていれば、4回戦で傷めたクライシュテルスの左足首が悲鳴を上げてくれたかもしれないが、最後は地力の違いを見せつけられてストレートで逃げ切られた。
選手たちは「コートの中に入って打つ」という言葉を使うが、よりベースラインの内側に踏み込んで攻撃できていたのはクライシュテルスで、ウォズニアッキは後方に押し込まれた。距離で言えばわずか数歩分の陣地の取り合いだが、それが勝負を分けた試合だった。
ナンバー1からの転落について聞かれたウォズニアッキは、「全然に気にしていないわ。だってまだ1月よ? 年の最後に誰が一番いい選手だったか、誰が一番コンスタントに活躍していたかがわかると思うわ」と強気な姿勢を崩さなかった。「私はこの先まだ何度でも全豪や全仏、ウィンブルドン、全米を戦えるし、まだまだ進化している途中。その日にベストを尽くしたのならそれで良し。相手が良かったということだと思う。私はまた何度でも挑戦できるんだから」とも話した。彼女のこういう部分が、その強さを形作っているのだろう。今後の彼女の逆襲に期待しよう。
テニス界きっての技巧派であり、戦術家のアグニエシュカ・ラドワンスカ(22歳、ポーランド)相手に戦ったのはビクトリア・アザレンカ(22歳、ベラルーシ)。「第1セットは本当に接戦だったけれど、そこから自分のテニスを調整していけたのが勝因」とアザレンカ。第1セットだけで25本のアンフォーストエラーを強いられ、タイブレークを落としてしまったアザレンカだったが、第2セット以降はラドワンスカに駆け引きを使わせず、パワーとスピードで押し切った。エラーは激減し、ウイナーの数が増えていく。それが彼女の戦い方で、勝ち方だった。
準決勝はクライシュテルスとアザレンカになった。「本当にタフな相手。今までより以上に自分が主導権を握って戦えるようにしたい」とクライシュテルスは話している。若手たちが念願のタイトルに近づくのか、クライシュテルスがプライドを見せつけるのか。興味深い対戦が続く。