パリのローランギャロスで開催中の全仏オープン初戦で、森田あゆみは39位のポロナ・ヘルツォグと対戦。クレー巧者相手に3-6、6-4、6-3の逆転勝利を収めた。


第1セットを失い、後がない状態で迎えた第2セット。第1セットに比べ、サーブが安定した森田は、要所でエースも決めつつ、自身のゲームをキープしていった。
ターニングポイントとなったのは、4-4で迎えた森田のサービスゲーム。4度のブレークポイントをしのぎ、長いゲームをキープするとピンチの後にチャンスあり。続くゲームをブレークし、試合を振り出しに戻した。
第3セットでは、森田のリターンゲームでの積極性が光った。単に強打で押し込むだけでなく、スライスを打ちネットに出るなど、ポイントの組み立てでもクレー巧者のヘルツォグを上回った。ブレークの直後にブレークバックされるも、すぐさま再びブレークする気持ちの強さが勝利を大きく引き寄せる。最後は、この日好調のサーブに相手がタイミングを合わせられず、リターンがアウトになり勝負が決した。
これで2年連続で、全仏2回戦に進出した森田。次の相手は、初戦を6-0、6-0で圧勝した、現在絶好調のマリア・シャラポワである。
試合後に森田の会見があったので、その模様をお伝えする。
――ダブルスでリタイアした理由は?
シングルスが終わってから、いきなり目眩がした。試合が始まってからはお腹が痛くなりました。
――考えられる原因は?
トレーナーからいわれたのは、暑さのなか長時間の試合をやり、ダブルスまでにリカバリーする時間が無かったこと。胃腸だといわれました。原因は、良くわかりません。別に変なものも食べてもいないし、朝はなんでもなかったので。
――今日の相手には、前回の対戦で勝っていたことが気持ち的に有利に働いたか?
これまでに2度対戦しているので、どういうプレーをしてくるかの情報はあったし、準備はできていた。ただ前回は勝ちはしたけれど、第1セットを落とし、第2セットもリードされていた。最後は相手の気持ちが切れてくれたから勝てた部分もあったし、クレーが好きな選手だとも分かっている。前の試合のことはあまり考えず、やるべきことを試合前に確認して挑みました。
――そのやるべきこととは、具体的にはどんなことか?
ファーストサーブの確率。そして前回の対戦の時、相手の高くはずむサーブのリターンに苦労したので、今回は弾むサーブに対して、自分の打ちやすいところまで下がり、しっかり返してそこからラリー戦に持ち込もうと思っていた。
あとは、相手はポイントを取るときはよいプレーをするが、荒いところもあるので、最後まで諦めずにしっかりついていこうと思っていました。
――サーブの確率が第2セットから大きく上がったのは、作戦か?
セカンドサーブだと、トップスピンのよいフォアのリターンが返ってきていた。スピンサーブでもよいので、ファーストを入れていくように確率を重視しました。
――最後まで諦めないプレーが、第2セット終盤や第3セットにも出ていたと思うが?
今日は大事なところで、冷静かつ強気でプレーできた。第2セットに相手のブレークポイントもあったが、積極的に強気で攻められたところがよかったと思う。
――体調の方は、次の試合までには戻りそうか?
大丈夫だと思います。今は目眩も無く、お腹が少し痛いだけ。しっかり休めば、大丈夫だと思います。
――その次の対戦相手は、シャラポワです。
はい、楽しみですね。シャラポワは、今年クレーでも優勝するなど好調。テレビで彼女の試合をよく見ていたが、とにかく攻撃的だし、今すごくよい調子だと思う。こういう大舞台で、トップ選手と戦えるのは楽しみ。自分のベストをつくして頑張りたい。
――試合は、センターコートで組まれる確率が高いと思うが?
楽しみです。楽しみと同時に、大きなコートでやるのは初めてなので、雰囲気など想像もつかないところもあります……。できる限りリラックスして、よいテニスが自分からできるようにしたいと思います。
――今シーズン、ここまでクレーでの調子はどうか?
クレーは嫌いではないです。ハードの次にクレーが好きなので。今年のクレーシーズンは、序盤は体調があまり良くなくて練習もできなかったが、やっと先週からよい感覚や試合に勝つ感覚を取り戻しつつある。次もよい試合をして、さらに自信を得られるようにしたいです。
――今の時点で、シャラポワ対策は?
自分から攻めていかないと、たぶんやられると思う。試合を見ていても、セカンドサーブも思い切って打ってくるし、リターンからもどんどん攻め、ちょっとでもチャンスがあるとコートの中に入って畳み掛けてくるというイメージがある。なので、自分も引かず、打たれたら打ち返すくらいの気持ちでいかないと、チャンスはないと思います。それから気持ちが凄く強い選手なので、その雰囲気に飲まれず、自分もよい雰囲気を持って向かいたいと思います。
――オリンピックに関しては、現状でどう思うか?
現状では、勝たないことには可能性はない。次も、その次も勝つくらいでないと無理だと思います。厳しいといえば厳しいが、今自分にできることは、ベストを尽くしひとつでも多く勝つことなので、まずは次の試合に集中したいと思います。
――シャラポワといえば叫び声が有名ですが、あれは選手としては気になるものか?
対戦したことがないので分からないのですが……テレビで見る限りは、やっぱり対戦したら気になるだろうなと思います(笑)