パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、大会6日目の6月1日に男女3回戦が行なわれ、男子第1シードのノバク・ジョコビッチと女子第1シードのビクトリア・アザレンカが順当に4回戦へ進出。その一方で、女子第3シードのアグニエシュカ・ラドワンスカが敗れる波乱もあった。


今年に入りランキングを一気に3位まで上げたラドワンスカは、今季3勝と絶好調。全仏直前の前哨戦でも優勝しており、今大会の優勝候補のひとりに数えられていた。
その世界3位の快進撃を止めたのは、第26シードの伏兵である。だがその実態は、3年前の同大会優勝者の、スベトラーナ・クズネツォワ。ここ2年ほど成績的には低迷していたが、ポテンシャルは依然高く、そして大舞台での戦い方を熟知している。
「長くツアーにいると、小さな大会ではモチベーションを高めるのが難しい。でもグランドスラムでは、そのような問題はない」というベテランは、フォアから繰り出す重いスピンショットを軸に相手を圧倒。優勝した3年前をほうふつとさせる完璧なプレーで、ラドワンスカに持ち味のテクニックを発揮させるひますら与えなかった。
男女の世界1位の前に立ちはだかったのは、対戦相手でなく、沈みゆく太陽だった。コートスザンヌ・ランランの進行が遅かったため、第4試合に組まれていたジョコビッチ戦が始まったのが、夜の7時48分。さらに同スタジアムの第5試合に予定されていたアザレンカの試合は、ナンバー1コートにうつされ8時3分にスタートした。
パリの夜は長いが、それでも試合ができるのはせいぜい夜9時半頃まで。2人の世界1位に与えられた時間は1時間半ほどで、それより長引いた場合は、日没順延となることが濃厚である。そのような事態を避けたい2人は、傾きゆく太陽と時計の針を横目で気にしながら、闇に紛れる黄色いボールを打ち抜いた。
そして男女のチャンピオンは、その厳しいチャレンジを見事にクリアする。「私の試合は、最初はナンバー2コートに移されるといわれ、でもやっぱりフィリップ・シャトリエ(メインスタジアム)になるという話も出てきた」という困難な状況のためか、試合序盤はやや苦戦したアザレンカだが、結果的には6-4、6-4のストレート勝ち。試合が終わったのは、9時29分だった。
ジョコビッチの試合が終わったのは、その僅か3分後。サーブ&ボレーを試みるなど、明らかにスピード試合に挑んでいたジョコビッチは、6-1、6-2、6-2で完勝。試合時間は、1時間44分だった。最後の数ゲームは「ボールがものすごく見づらかった」ためミスも増えたジョコビッチだが、「次の日に数ゲームのため戻ってくるのは絶対に嫌だった」と奮起。最後は火を噴くようなフォアのウィナーで試合を決め、大会6日目を締めくくった。
そのほかでは、第3シードのロジャー・フェデラーが、地元のニコラ・マユに6-3、4-6、6-2、7-5で勝利。第13シードのアナ・イバノビッチは、クレーを得意とするイタリアのサラ・エラニに逆転負けを喫した。
※ニュース内容に誤記があった為、ニュース内容を一部訂正しました。お詫び申し上げます。(6/3)
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