パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間3日に男女の4回戦を行い、第1シードのビクトリア・アザレンカが、第15シードのドミニカ・チブルコバに2-6、6-7で敗れる波乱があった。


全豪優勝者であり、今シーズン4勝と絶好調のアザレンカがこの日対戦したのは、対戦成績だけ見れば、7勝1敗と大きく上回る得意の相手だった。だが、その7勝のうち、4つがフルセットにもつれこむ接戦。とくに、直近のマイアミでの対戦は、アザレンカが第1セットを1-6で失い、第2セットも2-5とリードされながら大逆転した一戦である。両者の実力は数字ほどには離れておらず、しかもアザレンカが過去に喫した唯一の敗戦がクレーであったことを考えた時、番狂わせの材料は揃っていたともいえる。
その予感は、チブルコバが「勝てる」と自信を信じたとき、現実に向け加速する。第1セットで最初のゲームをブレークされながらも、即座にブレークバックすると流れを掌握。身長では、183cmのアザレンカに対し、チブルコバは161cmと大きく下回るが、その小柄な体でどんなボールにも喰らいつき、小気味良いショットを次々と叩きこんでゆく。第1セットを奪ったチブルコバは、第2セットも4-2とリードし、自身のサービスゲームを迎えていた。
だがここでブレークバックを許すと、追い上げる女王の勢いをせき止め切れずに、タイブレークへと雪崩れ込む。マイアミとあまりに酷似した展開に、「あの試合(マイアミ)のことが頭をよぎらなければ、人間じゃないわ。だから追い上げられたときには、ナーバスになってしまった」と、チブルコバは試合後に素直に白状する。
しかしこのタイブレークで、彼女はマイアミとは異なるシナリオを描いてみせた。「相手がポイントをくれないことは分かっている。だから自分からポイントを取りにいった」という強靭な精神力が、攻撃的な姿勢と同時に、冷静な判断を可能せしめる。最後はネット際にドロップショットを落とすと、返ってきたボールを、体ごと相手コートに飛び込むように叩きこんだ。次の瞬間チブルコバは、ラケットを放り投げると背中からコートに倒れこみ、全身で勝利の歓喜を表した。
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