パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間4日に男女の4回戦を行い、ラファエル・ナダルら男子上位陣は順当に勝利した。
今日試合が行われた男子ボトムハーフでは、クレーを得意とするスペイン勢が猛威を奮っている。同大会2連覇中で、史上最多7回目の優勝を目指すラファエル・ナダルは、アルゼンチンのファン・モナコを寄せ付けなかった。今季絶好調のモナコを6-2、6-0、6-0で下したナダルは、6月3日が26回目の誕生日。自身の誕生日を完勝で祝ったクレーの王者は「今日はサーブがとても良かった。そしてミスをほとんどしなかった」と自身のパフォーマンスを評しながらも、「ここまでのプレーがよかったからといって、最後までいいとは限らない」と、3連覇に向けて気を緩めるようすはない。


第6シードのダビド・フェレールは、スペインの同胞マルセル・グラノラーズと対戦。グラノラーズもクレーのスペシャリストだが、互いにクレー好きとなれば、そこは自力に勝る方が優位に立つ。6-3、6-2、6-0で勝ったフェレールが、4年ぶりに全仏ベスト8に進出した。
もうひとり、この日勝ったスペイン人が、第12シードのニコラス・アルマグロ。ナダルら同胞の影にかくれスポットライトは当たりにくいが、今大会ここまで1セットも失わないなど好調。この日も第8シードのヤンコ・ティプサレビッチをストレートで圧倒するなど、虎視眈々と上位進出を狙うダークホースだ。
これらクレー巧者が占めるボトムハーフにおいて、唯一の“非スペイン人”が、第4シードのアンディ・マリー。大会序盤に痛めた腰の状態は依然万全ではなく、この日の試合も第1セットは腰を押さえ顔をしかめながらの戦い。しかも相手は地元の人気選手リシャール・ガスケとあって、1万人を超える観衆を敵に回しての苦闘であった。だが第1セットを落としたあとは、“壁”と称される固い守備と、ドロップショットやロブを織り交ぜた頭脳的な組み立てで相手のリズムを崩していく。1-6、6-4、6-1、6-2で逆転勝利を収めたマリーが、グランドスラム6大会連続で、ベスト8以上への進出を決めた。
また、日没順延のため昨日から持ち越された男子2試合では、ジョーウィルフリード・ツォンガと、ファン・マルティン・デルポトロがそれぞれ勝った。女子のほうでは、昨年優勝者の李娜(リー・ナ)が予選上がりのヤロスラワ・シュウェドワに敗れる波乱。
第2シードのマリア・シャラポワは、この日は強風の影響からかサーブに苦しみ、クララ・ザコパロワに第2セットを奪われる苦しい展開。際どいラインコールに度々猛抗議する場面も見られたが、それでも最後まで集中力を切らさないのが、彼女の強みだ。第3セットだけで5本のダブルフォルトを犯すなど相変わらずサーブは安定しなかったが、持ち前の勝負強さで、3時間11分の熱闘の末にザコパロワを振り切った。
そのほかでは、カイア・カネピがオランダの新鋭アランチャ・ラスを下して、4年ぶりに全仏準々決勝進出。昨年のウィンブルドン覇者のペトラ・クビトワは、今大会の台風の目となったバーバラ・レプチェンコを1時間で下し、初の全仏ベスト8入りを決めた。