パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間10日にノバク・ジョコビッチラファエル・ナダルの男子決勝戦を行ったが、ナダルが6-4、6-3、2-6、1-2とリードしたところで雨のため試合は中断。現地時間の20時の時点で、翌日への順延が発表された。全仏の男子決勝戦が日曜日に終わらなかったのは、1973年以来のこと。このときは、最終的に決勝戦は火曜日にまで伸びている。


午後から降雨が予想されていた日曜日のパリ。今にも雨が降り出しそうな曇空のもと、午後3時に男子決勝戦はスタートした。第1シードのジョコビッチが勝てば、男子では43年ぶりとなるグランドスラム4大会連続優勝。第2シードのナダルが勝てば、ビヨン・ボルグの記録を抜き、史上最多の全仏7度の目の戴冠。いずれが勝っても、歴史的な一戦となる試合であった。
その栄冠に向け、立ち上がりから猛攻をしかけたのは、ナダルだった。最初のゲームをブレークすると、またたく間に3ゲーム奪取。その直後から雨が落ち始めるが、霧雨が振り続けるなかでもナダルは凄まじい集中力を発揮し、第1セットを1時間の攻防のすえに先取する。ジョコビッチはファーストサーブ成功率が48%と低く、ナダルに3度のブレークを許していた。
第2セットに入っても、ナダルの優勢は揺るがない。相変わらずファーストが入らないジョコビッチのサーブを叩き、第1ゲームをいきなりブレークする。ジョコビッチも第4ゲームをブレークし返し一時は並ぶが、雨脚を強める雨が気になったか、らしからぬミスを重ねる。いらだってラケットを放り投げ、さらに第7ゲームをブレークされたあとには、ベンチをラケットで叩き割って観衆の大ブーイングを浴びた。そのあと、強くなりだした雨のため試合は約40分中断されるが、ナダルの集中力は途切れなかった。再開後最初のゲームもナダルがブレーク。2セットのリードを奪い、7つ目の栄冠に大きく近づいた。
勢いに乗るナダルは、第3セットの第2ゲームもブレークして6ゲーム連取。試合の趨勢は、完全に決したかと思われた。
だが、雨を含んでますます重みを増したボールが、ナダルの武器であるスピンを困難なものにし始めていた。ボールがネットにかかる、あるいは大きくふかす場面が目立ち始めたナダルとは対照的に、ボールの芯を撃ちぬくように、フラット気味の強打でラリーを支配しだしたジョコビッチ。サーブも本来の調子を取り戻したジョコビッチは、200km/hを超えるサービスエースも奪っていく。
第3セットはジョコビッチが6ゲーム連取で逆転し、さらには第4セットでもナダルのサーブをブレーク。合計8ゲームを連取し、勢いを完全に手中に納めていた。しかしこのころから、雨音がスタジアム内に響くまでに、雨が激しく降り始める。セットカウント2-1、時計の針が17時52分を指した時点で、この日2度目の中断に。そのまま試合が再開されることはなく、試合は翌日月曜日順延になった。
月曜日の試合再開時間は、午後1時。ただし日曜夜の時点では、月曜日の天気予報も芳しくはない。順延決定後に大会トーナメントディレクター、オペレーションディレクター、そしてレフリーの3者が急きょ会見を行い、報道陣の質問に対応。「どうして雨予報にも関わらず試合開始を早めなかったのか?」との質問には、テレビ中継の予定が大きく関わっていた事情などを明かした。