全仏オープンの大会3日目がパリのローランギャロスで行われ、元世界1位で今大会第5シードのセリーナ・ウィリアムズが、地元のビルジニ・ラザノに、6-4、6-7、3-6で敗れる波乱があった。


セリーナは1998年の全豪オープンでグランドスラムデビューを果たして以来、自身初となる初戦敗退を喫した。
まさかの、大逆転劇だった。セリーナが第1セットを奪い、第2セットのタイブレークでも5-1と大きくリードを広げたとき、誰もが、これで試合は決まったと思ったはずだ。ところが5-3まで追い上げられた局面で、セリーナは楽に打ち返せたはずのロブに対し、プレーを止めて「アウト」と主張。主審が土に残されたボールの落下点を確認したところ、結果はインでラザノのポイントに。このひとつの攻防が大きなターニングポイントとなり、セリーナは逆転で第2セットを失った。
第3セットでは、集中力を失ったセリーナがミスを連発。「練習でやっていたことが全くできなかった。こんなにミスをしたことは記憶にない」となげくセリーナを尻目に、ファンの声援を受けるラザノは、思い切りよく打ったショットがことごとくラインをとらえ、瞬く間に5-0とリードを広げた。
ところがここから、試合は再びもつれにもつれる。勝利を意識したラザノから積極性が薄れ出し、そしてこの機を、百戦錬磨のセリーナは見逃さない。また、試合開始から2時間半が経過したころからラザノの足を痙攣が襲い、さらには不運なことに、痛みからうめき声を上げると、それが「相手のプレーを妨害した」と見なされポイントを失うことに。思わぬチャンスを得たセリーナは息を吹き返し、5-3と猛追しはじめた。
5-3で迎えた第9ゲームは、全仏の歴史に残るであろう長くドラマチックな内容となる。重ねたデュースは12回。セリーナのブレークポイントは5回を数え、そのうち最初の1回は、ラザノのこの日ふたつ目の「プレー妨害」によるペナルティポイントで得たものだった。
「レフリーはフェアではない。少し声を出しただけで、どうしてペナルティを与えられたのか分からない」と、ラザノが不満を漏らし、そしてセンターコートの観衆が大ブーイングで不服の意を表したこのポイントから、果たしてどれだけの時間が経過しただろうか? 迎えた8度目のマッチポイントで、セリーナのバックのクロスが、ラインの僅かに外側を叩く。ボールの落下地点を確認するためラインに駆け寄った主審が、指を横に向け「アウト」であることを示した時、ラザノの勝利が確定し、同時に、セリーナの初のグランドスラム初戦敗退が決まった。