※2011年10月に書かれた記事です。

「テニス初心者のための道具の選び」と題し、初心者がテニスを始めるにあたって何に着目していけばいいか、全5回にわたり紹介していきます。

第1回目の今回は、「ラケットを選ぶコツ」です。「ラケットなんて何を買っても変わらないでしょ!」と決めつける前に、冷静になって見るべきポイントを押さえてください。それだけでも上達するスピードがまったく異なってきますよ。

「初心者モデル」は買いか?

各テニスメーカーでは、「初心者向け」モデルと呼ばれるテニスラケットを売りに出しています。その初心者モデルは、各メーカーの最新技術を少しだけ、もしくは部分的にラケットに導入したものが大半。特徴として、フェイス(ラケット面)が大きく、機能全般あたりさわりのないものになっており、価格は2万円前後がボリュームゾーンです。

はたして初めてテニスをする人に、このような初心者モデルを推薦できるかというと、ズバリそうではないと考えています。

人によって当然ながら、体力や運動神経、スポーツに慣れ親しんでいるかなどがまったく異なります。異なれば、推薦するラケットも違ってきます。ただ、その中でもラケットを選ぶ際に着目してほしいポイントが「スウィング」です。ラケットを持って、そしてそれを振ったとき、どれくらい振ることができるのかがラケット選びでもっとも大切な点なのです。

「振れる」「振れない」でまったく異なるラケット選び

◆ラケットよく振れる人(体を上手に使える人)
「比較的に球がよく飛び、そして操作性がいい」ラケットをお勧めします。具体的に言うと、「ラケット面の大きさは中くらい」「フレームの厚さも中くらい」、そして「軽い」ラケットです。価格は25,000~30,000円くらいでおさまるもので構いません。

ちなみに男性の場合、ツアーモデル(プロ仕様に近いラケット)を使用してもいいくらいのスウィングをする人もいるので、自分の振りがどの程度のものなのかわからない場合は、ショップの店員さんに聞いてください。親切に対応してくれるはずです。

◆あまり振れない人(体を上手にあまり使えない人)
「よく飛び、体に負担の少ない」ラケットをお勧めします。具体的には、「ラケット面が大きく」「フレームが比較的厚く」、そして「軽い」ラケットです。価格は30,000~33,000円くらいでおさまるもので構いません。

握ったときの「隙間」がポイント

太いグリップ(ラケットを握る部分)は、力が入りやすく振りが安定するといわれます。ただ、あまり太すぎると握りづらくなってラケットの操作性が悪くなります。反対に細すぎると、ボールがラケット面の芯から可ずれたとき、ラケット全体がぶれやすくなります。ちょうどいい太さは人それぞれなのですが、一般には「ラケットを握ったとき、グリップと指に少し隙間があく」くらいがちょうどいいとされています。

グリップサイズは「1・2・3・4」とあり(「5」以上に相当するものもありますが基本的には市販されていません)、自身に合ったものを選んでもらえばまったく問題ありません。形もメーカーによって異なるので、自身の好みで構わないでしょう。ただ、初心者、特に女性が手が小さいという理由だけでグリップサイズ「1」を使っていることがありますが、あまりお勧めしません。極端に手が小さいなら別ですが、太いグリップの方が力を入れやすく、扱いやすいからです。せてめ「2」程度のものから始めた方が、上達への道がスムーズになるかと思います。

あえてこだわるなら、ストリング

ラケット面に網状に張られているものが「ストリング」。「ガット」とも呼ばれます。ストリングは、最初はそれほど気にする必要はありませんが、あえてこだわるのであれば、ナイロン素材で値段がリーズナブルなもの(1,000円前後~5,000円前後まで値段はさまざま)をお勧めします。

ストリングには様々な種類があり、3ヶ月に1度の張り替えを進めているテニススクールやテニスショップが多いです。半年とすることころもありました。いずれにせよ、定期的に張り替えるべきものなので、最初から意識して「合わなかったら気軽に変える」程度で考えておきましょう。よって、リーズナブルな価格で選んでみましょう。それを基準に、もっと飛ぶもの、もっと振動の少ないもの、もっと切れにくいものなど、自分の志向に合ったものを求めていけば大丈夫です。

なおストリングには、ナイロン素材の他にも「ナチュラル」「ポリエステル」などの素材があります。ナイロン素材は、ナチュラルよりも値段が安く、ポリエステルよりもよく飛び、振動が少ないものが多いです。ナイロン製品にもたくさんの種類がありますが、いずれ張り替えるものなので、その違いを感じるようになるまで値段を抑えたものにするのがいいでしょう。

専門ショップの、試打ラケを利用しよう

試し打ち用のラケット(通称「試打ラケ」)を貸してくれるテニスクラブ、テニスショップもあります。また、テニスクラブでは貸しラケットが用意されていることもあります。人それぞれの事情に合わせるという意味では、テニスコーチやテニスショップの店員さんに聞いて、自分の事情に合わせるのが一番かと思います。

今回は最低限の情報だけを書きましたが、もちろん「デザインで選びたい!」「価格が安ければそれでいい!」などの選び方もあるので、自分として一番何を優先順位とするか、ラケットを選ぶ前によく考えてください。それによって、選び方もまったくことなってきます。

ただ、スポーツ量販店の1万円台で売られているモデルはお勧めしません。ラケットのフレームが、粗悪品だったりして1月も持たずに崩壊したりすることがあります。その値段が気になれば、これも店員さんに聞いてみて構いません。はっきり答えられないようであれば、購入は差し控えましょう。