まずは何と言っても錦織圭(22歳)だろう。フランスのジュリアン・ベネトー(30歳)を相手に4-6 7-6(3) 7-6(4) 6-3で勝利し、自身初の全豪4回戦進出を果たした。日本男子が全豪で4回戦に進出するのは、戦前の日本男子黄金時代以来、80年ぶりのことで、錦織が日本のテニス史に新たな1ページを切り開いた。


試合内容的には接戦で、粘り強いベネトー相手に、リードしながら追いつかれ、また追いかけるというシーソーゲームで、第3セットは2-5からの逆転劇だった。錦織の強さは適応力。相手のテニスを試合の中で学習し、適切な回答を出していける能力だ。この日も徐々にベネトーのプレーに慣れ、最後は突き放した。
次の相手は第6シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(26歳、スランス)。昨年秋の上海では勝利しており、全豪直前のエキジビションマッチでも勝っている。しかし、上海での勝利はともかく、エキジビションマッチでの勝利は参考程度。ツォンガの調子も良く、この日もフレデリコ・ジル(26歳、ポルトガル)を6-2 6-2 6-2で圧倒し、勝ち上がってきている。過去に対戦経験があるということが、どちらか片方にだけ利するとは限らない。ツォンガは豪快なイメージの反面で、実にタクティカルなプレーのできる頭の良さもあり、それだけのテクニックも持っている。錦織にとっては厳しい戦いとなるだろう。
「4強」と呼ばれる選手の内の2人である、ノバク・ジョコビッチ(24歳、セルビア)やアンディ・マリー(24歳、英国)が強さを見せつけながら勝ち上がる中で、レイトン・ヒューイット(30歳、オーストラリア)が台風の目となりつつある。ナイトセッションのロッド・レーバーアリーナで、満員の大観衆の声援に応えて奮闘。若手有望株の中でも超級のパワーヒッターであるミロス・ラオニック(21歳、カナダ)を相手に4-6 6-3 7-6(5) 6-3と逆転勝ちをおさめたのだ。
ヒューイットの次戦はジョコビッチ。ヒューイットがもし勝つと、全豪では2005年に準優勝して以来の最高戦績となり、グランドスラムでは2009年ウィンブルドン以来のベスト8となる。ジョコビッチはヒューイットをさらにスケールアップしたようなプレーでナンバー1に君臨する存在で、両者のテニスは似ている部分も多い。地元の期待を一身に集めるヒューイットが、どんなプレーを見せるのか、興味の尽きない対戦となるだろう。