2007年07月03日
テニス用車椅子のチューニング
車いすテニスプレーヤーT.Kがテニス用車椅子のチューニングについてアドバイス
体格や障害に合わせて1台1台サイズやセッティングが違う
◆何が影響するのか
障害というのは足があるかないかとか、動かせるか動かせないかといった単純なことだけでなく、腹筋や背筋がどこまで動かせるのか、それとも全く動かせないのかとか、腰が効くのか効かないのかといったことまで含めて考えます。そのことによって、背もたれの高低や、座面の勾配、体を固定するベルト類の位置などが決まってきます。
◆まるで自分のカラダに問いかけるように、少しづつ少しづつ考えながらカスタマイズ
・少しセッティングが違うだけでも
自分の車いすでも少しセッティングが違うだけで、まるで平均台の上でテニスをやっている気分になるくらい不安定になってしまう。腹筋・背筋・腰がまったく動かない私(T.K)が、それらが動く人の車いすに乗ることはまず出来ません。一漕ぎも出来ず、オロオロウロウロするだけで精一杯でラケットなんか振ることもできないでしょう。
・同じような障害レベルの他の選手のセッティングを見て参考にすることも
逆に言うと、同じような障害レベルの他の選手のセッティングを見て参考になることも多々あります。ぜひ、取り入れてみてくださいね!
フットレスト(足置き)に角度をつけたら、大ヒット!
◆参考にしたのは、八筬(やおさ)美恵選手
状態の良い選手のセッティングを真似しても真似できないことが多く、あまり良かったことがなかったので、最近では参考にすらしなかったのですが、今回八筬(やおさ)美恵選手に勧められたこともあり、フットレスト(足置き)に角度をつけたら、これが大ヒット!
◆調整方法と効果
先日の広島ピースカップの会場で、アクセスインターナショナルの方に調整してもらいました。ドリルで穴開けてトゥクリップを装着。これで足は前方にずり落ちません。足首の角度がきつくないため、アキレス腱が引っ張られず、漕ぎ出し時の前傾姿勢の際、腰への負担がなくなりました。
ただ状態が良い人向けなのか、腰を意識しないとサーブのトスもうまく上がりません。腰が効かない自分は腰の意識が忘れがちになるので、荒療治ではあるけれど、腰を意識するには良いきっかけになるかなー、なんて思っています。
もっと早くやっていればよかった。。。
状態が悪くて、試そうかどうしようかためらっていたプレーヤー諸兄、お試しあれ♪
車いすテニスプレーヤーT.Kが経験したテニス用車椅子の輸送の経験談
車いすテニスを運ぶには
海外遠征ではテニス用車いすのパッキングにどの選手も注意を払い、ズボラなボクですら緩衝材を車いすのフレームに巻き付けたりしています。
壊れると・・・
◆選手たちの例
ある欧州遠征では、ストックホルム到着時に川野選手のリアキャスター軸が曲がってしまっていました。川野選手は現地の車いす業者に応急処置をしてもらいストックホルムの1週間を終え、日本に帰る藤本選手の車いすが同型のリアキャスターだったため、部品を譲り受けその後の2週間を戦いました。
海外の空港では貨物の取り扱いが非常に雑で、多くの選手が同様の車いす破損の経験を持っているようです。かつて斎田選手は日本への帰国時に車いすがペシャンコに、(やおさ)選手は出発時の取り扱いでメインフレームがグニャっと曲げられてしまったことがあるそうです。
壊れるとどうなるか
◆完全には弁償してくれない
どういう風に取り扱ったらこんなになってしまうんだろう、というくらいグチャグチャになっていています。
アルミのフレームは破断、摩耗し、もう使い物にならない状態です。さすがにこれを見たバゲッジクレームの係員は申し訳なさそうに謝罪も、完全に弁償はしてくれないんです。
◆自腹
競技用車いすはモロモロ合わせますと40-50万円程する非常に高価な代物で、これを壊されてしまうとかなり凹みます。スポンサーがついていたり、高額賞金を獲得できるわけでもないので、全部自腹です。
◆保険に入ろう
金を払って飛行機のって、それ以上の損害を与えられるのはなんとも腑に落ちない話ですね。
ぜひ航空会社と任意加入の保険会社と話して最小の損害にしておくことをお勧めします。カバー金額の範囲があるそうですが、航空会社は誠意をどこまで見せてくれるかは、その時にならにとわからないそうです。
空港関係者の方、ぜひ丁寧な取扱いを!
競技車を乗り換えるとなると問題になるのはお金だけでなく、その納期、セッティングも大きなハードルとなってきます。
輸入品だと3-4週間、完全オーダー品だと図面制作に1-2週間さらに4-8週間といった製作期間があったりして、手元に届くまでかなり時間がかかります。それまで全く練習できないとなるとこれは大問題なのですので、なんとか練習するためには自分のサイズにあったデモ車や中古車を探すことになります。
フレームのサイズがだいたいあっても、今度問題になるのがセッティングです。極端な話、1センチいや5ミリ違っても違和感を感じます。なので本当に自分のセッティングにするには数ヶ月かかる場合もあります。
空港関係者の方、ぜひ丁寧な取扱いをお願いします。