ストリンガーの見分け方3(ガット張り中の注意点)

ストリングガットの張り方、ガット張り中の注意点
ガットを張る際は、マシンの状態や、張る技術がよくわかる

よいストリンガーを見分ける方法が本当にあるのだろうか…。
第3回は「ガット張り作業中の注意点」として、7つのチェックポイントをお届けします。

#ラケットにストリングを張ることをストリンギング、張り替えることをリ・ストリングといいますが、ここでは一般に分かりやすくガット張りと記述されています。

#本来は「ガット」とは、牛の腸などをつかったナチュラルガットを指し、シンセティックとナチュラルを含めた「糸」全てを総称してストリングと呼んでいます。

ガット張り中の注意点

張る直前
ストリングの切り方

基本ですが、縦ストリングと横ストリングは長さが違います。
もし、シンセティックストリングを真半分に切ってから張り始めていたら、メインクロスの長さの違いを知らないということですね。

ガット張りが始まったら
Q:ガット張り中のマシンから長時間離れていたら?

ストリングは生ものです。張り時間で、テンションや、その均一さなどが変わります。いつも一定の時間で張り上げるというのが理想です。張っている途中にも関わらず、接客で長時間マシンから離れるようではいけませんね。

Q:張っている作業を見学すると…?

自信があったら、ぜひ見てほしいと言うくらいがいいですね。

Q:マシンの「ガタンゴトン」等の機械音や、金属音する??

マシン操作で、マシンの「ガタンゴトン」等の機械音や、金属音がする場合、故障の原因です。テンションの安定したガット張りを行いたいならすぐ修理する必要があります。
正しく張り上げるためにも、マシンのメンテナンスは非常に大切です。

Q:ラケットの、形状、素材で張り方を変えている?

ラケットは、形状、素材が違います。ということは、ラケットにあった張り方が存在します。何度も足を運べるようでしたら、ぜひチェックしてみてくださいね。単純に聞いてみるのもありですね。

横ストリング(クロスガット)
Q:「キュルキュル」と高い音がするのはなぜ?

クロスガットを引く時、「キュルキュル」と高い音がする。なぜでしょうか?
もともとストリンガーとは弦楽器の弦(ガット)を張る人のことを言います。ですから、私達は正確厳密に言うと「ラケットストリンガー」なのです。メインが張られていてそこにクロスを通して行くわけですから、何も考えず力任せにクロスを引き抜けば、摩擦により音がして両方のストリングに傷をつけていくわけです。表面に傷がつけば、本来の真円であるはずのストリングが変形し、正しくボールを弾き返せなくなるのです。

Q:よいクロスガットの通し方

「キュル」と音がすれば、ガットは傷付いて本来の製品の性質とは違ったモノになってしまいます。何がよくて、音がするとどう悪いのでしょうか。
メインの抵抗あるところへ、クロスを通すので無理やり引けば傷つけの音がするわけです。P社から新発売された、リコイルというストリングの張りの注意点に「音がしないように張って下さい」とカタログに書くようにアドバイスをしたのですが・・・
良い通し方とは、クロスガットを編む時には速く、引き抜く時はユックリと音がな
らないように引きぬく。
張り上げの時間短縮にはクロスの作業で短縮するしか方法がありません。ところが、引き抜く時に速くするとメイン・クロス両方のストリングを摩擦により傷つける結果になります。つまり、高い音が出るわけです。
本当の技術を持ったストリンガーは 通し編む時に時間短縮するしかないのです。抵抗のない編み込みを速くして、抵抗のある引き抜きをゆっくり作業するストリンガーが正しく張る作業をしていると言えるのです。

Q:クロスで「しごき」をしている

shigoki0302.jpg
*「しごき」これは、あるガットメーカーが何年か前に推奨したクロスガットの処理方法です。
これはガットを伸びきった状態にする手法で、緩みは無くなりますが、ガット本来の柔軟性・反発性を無くすので、手首や肘の故障の原因になります。未だに これをしているストリンガーがいたら ご注意を・・・

張り終り
Q:結び目(ノット)の切り残しの長さは?

string-howto001.jpgノットの切り残しが短く、2・3mm以下だと結びが解けてしまうことがあります。もし、フレームの外まで出てしまうような残し方(長すぎる)と異常音の原因になったり、手を怪我する原因になったりします。

Q:ナチュラルとシンセティックのストリングの結び方に違いがあるか?

牛の腸と化学繊維とでは素質・性質が全く異なります。結束できない天然素材を結ぶことは出来ません、ゆっくり緩んでいく止め方をします。一方化学繊維はしっかり結ばないと ゆるんで解けてしまいます。

Q:張りあがったラケットがマシンから外れないのはなぜ?

残念ながら、ラケットに歪みが出てしまってます。張り始めのセッティングが甘かったり、メインに対してクロスのテンシションがあまりにも緩いのでラケットのフェイスがつぶれてしまった結果です。

Q:張り終りにはたくさんやるべきことがある!

張り上がったら何もチェックせずにマシンからラケットをはずしてはいけません。
クロスガットののクランプ止めはメインの隙間に押し込む状態になります。従って、メイン・クロスのどちらも歪める結果になります。

Q:ストリングの交わりを合わせているか

張り上がりの仕上げとして、ガットを直角に交り合わせる作業や、張り上がりの仕上げとしてガットを直角に交り合わせる作業を行う必要があります。 

Q:眼飛ばしを行っているか

metobasi0304.jpg眼飛ばしってなんでしょうか?
メイン・クロスが編めていないで、スルーしている場所がること。日本のトップ・ストリンガーの間では「丁寧過ぎるストリンギングと仕上げは無い。」と言われています。
ストリンガーの見分け方1(テニスショップに入ったときの注意点)
ストリンガーの見分け方2(注文の際の注意点)
ストリンガーの見分け方4(張り上がりでの注意点)

記事:鈴木敏朗