公認ボールは、何が違う?

★公認であることにどんな意味があるのか?
★そこにはメーカーや公式団体の戦略がある。

テニスボールの規格

公認ボールと未公認ボール

テニスショップに売っているボールには「日本テニス協会公認(JTA公認球)」とか「ITF(国際テニス連盟)公認球」とかボールの容器に記載してある。中にはATF(アジアテニス連盟)公認なんてものもある。

テニスボールの規格

テニスボールの規格は「直径:6.54~6.86cm/重さ:56.0~59.4g」。その他にも「どれくらい弾む」、「どれくらい変形する」などの決まりがある。
言い換えると、規格通りと言ってもそれぞれに打球感や癖があるので、すべてのテニスボールが同じではない。中に使用するゴム、外に使用するフェルトなどによってもそれは大きく変わるものだ。

公認ボール

公認料

公認ボールとは、ルール上の規格に適合しているのは勿論だが、その中でその公認をもらいたい協会なり連盟に対して「公認料」を支払っているものだ。言い換えると、これは各協会、連盟が主催・主管・公認するトーナメントでトーナメント使用球として使う権利を各ボールメーカーに売っているということだ。
ただ、公認を取っているから自動的にトーナメント使用球になるということではない。協会公認のトーナメントの場合は、公認ボールを使用する必要がある。つもり、メーカーとトーナメントの交渉ということになる。

公認料を払ってまでほしい「公認」とはどんな意味を持つのか
出場予定選手にボールが売れる

ボールは、製品により打球感覚がずいぶん違う。だからボールの弾み方などに戸惑うことなく大会で「勝利」したいと考えるなら、そのトーナメント直前は、そこで使用されるボールと同じものを練習で使いたいと出場予定選手は思う。私もそれをお勧めしている。
つまり、トーナメントでボールを使用してもらえると、出場選手にボールが売れるのである。
特に協会公認のトーナメントに出場するのであれば、その人数は大きくなる。例えば2007全日本ジュニア選手権で DUNLOPのテニスボール「SRIXON」が使用された。そして有名ジュニアスクールはいっせいに「SRIXON」を購入することになる。
尚、SRIXONはゴルフボールなどの商品名でもある。ここにもメーカーの戦略が伺える

ブランド価値はもちろんあがる

特に大きな大会で使用されれば、ボールに対する信用力がつく。ブランド価値があがるのだ。当然ながらそれも大きな理由。
例えばテニススクールで使われるボールは各メーカーのトップモデルのボールでないことが多い。しかし、メーカー自体は基本的に誰もが納得できるメーカーになる。そう、トップモデルでなくとも納得するメーカーとは、大きな大会で使用されているメーカーとなる!

打球感の「標準」を手に入れる

「このボールの打球感はおかしい」
聞いたことのあるセリフだが、打球感の基準はどうやって作られるのか。自分が目指す試合で使われる大会のボールが基準になる。あまり試合に出ていない方ならテニススクールなどで使われるボールが基準となる。
記事:村上 功