フェデラー使用の[K]SIX.ONE Tour90の試打評価&比較
★フェデラーが使用するラケット[K]SIX.ONE TOUR90
★本物を目指せるラケットを、村上氏は「楽に感じる」「スウィングが速くなくても大丈夫」ともいう。なぜだ?!
★最新テクノロジーと村上功の試打評価をテニスナビが比較
前身モデルと形が一緒。手抜きかと思ったら、すごい改良だった!
([K]SIX.ONE Tour90の試打評価)
試打人村上功
これまで数多くのラケットを試打。テニス雑誌、テニスナビ、自身の経営するテニスショップで新作ラケット紹介し続ける。 メーカー泣かせのテニス道具のエキスパート(by テニスナビ)
前身の「nCode」ラケットと今回の[K]Factorラケットの違い
「あれあれ、手抜き新製品か」と思ってしまった
発売当時の話。スペックが前身とほぼ同じであるのみて「あれあれ、手抜きな新製品か~」と思ってしまった。職業(テニスショップ)柄であろう。しかし後にこれが大きな間違いだと知ることになる。
今回の[K]Factorラケットと前身の「nCode」ラケットの違い
今回のは「[K]SIX-ONE TOUR 90」で、改良前の前身は「nSIX-ONE TOUR 90」。どちらも、ロジャー・フェデラーが使用するラケットだ。
名前の違いは「[K]」と「n」だけ。デザインは違うが、同じ形と重さのラケットだ。スペック的には素材以外は全て一緒。
「[K]」と「n」の名前は素材(正確にはテクノロジー)の違いから来ている。とにかく違うのは素材だけということだ。
試打して実感。「ブレない」「伸びる」、そして意外にも「楽」
まずは、最初の感想。
この前身(「n」)のラケットもファンが多く、とてもいいラケットだったが、私には一生懸命打たなければという飛ばない印象があった。果たして今回のラケット(「[K]」)はどうであろうか。
最初はその前身(「n」)のイメージがあったので、ショートラリーを終えてからとりあえず何も考えずに強振。程よくスピンが掛かりベースラインを少しオーバー。新しい「[K]」、1球目から「おお、いい感じ」だ。力まなくても飛ぶし、ホールド感も程よい。
ボレーもとても好印象。しっかりとのせる感じがある。またブレが少ないのでコントロールを作りやすかった。
思い切って振るにはやはりパワーが必要だが、ブレが無いので安心してラケット振れる。
本当に意外。何度か使うと結構「楽」できるラケットだと感じる
何度か使うと、意外にも私は「楽」と感じるようになる。もちろんツアーモデルであるし、現在市場に並ぶラケットの中ではフェイスサイズが小さく、また重い。本来「楽」な部類ではないはずなのに。
バランス等もチェックしたが特に変わっていない。⇒
…、素材の違い、恐るべし。
「楽」と感じた主な理由は、ゆっくりラケットを振ってもボールが伸びること、威力のあるボールに対してもラケットがブレないのでコントロールが失われないことだ。
もちろん、ブンブン振り回すにはパワーが必要であると感じる。だが、重量感を感じながら振り出すと、振り抜きやすい。がっしりした重量感で、インパクト時にボールをしっかり潰している感じがよくわかる。
このラケットは、こんな方にお勧めしたい
思い切って振るなら、320gのフレームを使いこなすパワーのある人
本格思考でパワーがあれば間違いはない。スピンをたくさんかけたい人でも、厚いあたりでボールを飛ばしたい人でも大丈夫。ただし、320g(張上げだと340g超)のラケットだ。思い切ってそれを振りたいのならば、最低限のパワーは必要。
例えば、草大会を含めて大会中心にテニスライフを考えている「プレイヤー志向」の方、そしてJOP大会に挑戦している方、元気な学生の皆さん。
スウィングは速くないが、伸びのあるボールが打ちたい人
このラケットはゆっくり振っても面がブレずに伸びのあるボールが打てる。相手のボールに押されてしまうという悩みのある方、相手のボールが伸びてこないと調子が出ないという方にもお勧めだ。
記事:村上功
[K]SIX.ONE Tour90のスペック情報&評価との比較
[K]AROPHITE BLACK(カロファイト・ブラック)&
ウイルソンが持つカーボンフレームに関するテクノロジーの歴史
村上氏がはっきりと感じた素材の改良はどのようなものか?
素材以外は同じスペック。村上氏がはっきりと感じさせた素材=「[K]AROPHITE BLACK(カロファイト・ブラック)」とはどのようなものであるかをみていく。
ウイルソンのHPでは次のように説明している。
「カーボンブラック・ナノ繊維(Carbon Black Nano Firbers)をナノレベルで加工し、グラファイト繊維(Graphite Fibers)と二酸化ケイ素(SiO2)分子を結びつけることで、高密度で強固なマトリクスの密着構造素材が誕生。」
これを理解するには、ウイルソンが持つカーボンフレームに関するテクノロジーを順に説明する必要がある。
Carbon(カーボン)
カーボン繊維は確か剛性が高くねじれやブレが少ない上に軽いのでラケット素材としてよく使われる。だが、カーボン繊維の間の隙間をナノレベルで言えば隙間がある。それは、圧力にもろいと言えなくない空間である。
nCode(N・コード)
ウイルソンはその空間を埋めることで、より圧力に強いフレームにした。そのテクノロジーを「nCode」とよぶ。
[K]AROPHITE BLACK(カロファイト・ブラック)
次にウイルソンは、よりねじれやブレの少ないフレームにするために、空間を埋めた物質とカーボン繊維を分子レベルで結びつけた。そのテクノロジーをウイルソンは「[K]AROPHITE BLACK」と呼ぶ。
村上氏が感じた違いのポイントは、新素材によりブレが減り「力のロス」が減ったことであるとテニスナビは分析する
村上氏は、前身のラケットよりボールが飛ぶと表現している。
今回の「[K]AROPHITE BLACK(カロファイト・ブラック)」のラケットは「nCode(N・コード)」のラケットよりも、安定感が増している。
それによりコントロール性が向上するのだが、それと同時に力のロスがなくなっているからと考えられる。ブレがあると力はロスする。それが無くなったために、ボールが伸び、「楽だ」と感じたのであろう。
[K]OMPACT CENTER(コンパクト・センター)
ラケットの操作性、持ちやすさ、打球感を向上させるため、この「[K]OMPACT CENTER(コンパクト・センター)」とは、ヨーク部(フェイス以下の部分)の形状をコンパクトにすることをいう。
ここは前身のラケット変わった部分ではない。前身のラケットも含め、多くのファンがいるのは、重いのにも関わらず操作性が高いというこのラケットの特徴が出ているからであろう。[K]OMPACT CENTER(コンパクト・センター)はそれを支えている。
スペック&価格
■価格 36.750
■素材カロファイト・ブラック + ケブラー
■重量(フレーム) 320g
■バランス(フレーム) 31.5cm
■サイズ/レングス 2,3,4/27インチ
■フェース面積 90平方インチ
■フレーム形状フラット・ビーム
■フレーム厚 17mm均一
■ストリングパターン 16×29 (タテ×ヨコ)
■適正テンション 50-60ポンド
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