錦織圭新コーチは金メダリスト 複52大会優勝 切手にもなった人物

錦織圭（日清食品）は新コーチにマックス・ミルニ（ベラルーシ）を迎え入れたと11月30日、自身の公式アプリで発表した。
ミルニは42歳、2018年シーズンいっぱいまで26年間、現役でツアーを回っていた元プレーヤーだ。

錦織はその経過をイベントなどの記者会見で以下のように説明した：
「今年の夏くらいからコーチをなんとなく探し始めていた。
ダンテとも長かったし、マイケルとも長くやっている。
長くやっている分、信頼し合ってお互いを分かり合っているが、
新しい声を取り入れたいという思いもあった。

ちょうど探していた時に、ミルニが（望月）慎太郎のコーチをしていて、コーチとしてもすごく良い。
プレースタイルもちょっとだけ自分に似ていて、あんな風にプレーをしたいという思いがあった。

13歳でIMGアカデミーに行ったばかりの自分に、ミルニは声をかけてくれたりして助けてくれた。
その後も一緒に練習してきた。
すごく真面目で熱心に練習に取り組んでいる理想の先輩プレーヤーだった。

ケガをする前からコーチお願いの話はしていたが、ケガをした後も熱心に話をして励ましてくれた」と錦織。
信頼し尊敬できるミルニにコーチを頼んだ。
今後はマイケル・チャンと共に戦っていく。

ダブルス52回優勝
6度グランドスラム大会
オリンピック混合も優勝

ミルニは1977年07月06生まれ。

ツアー52勝をあげたダブルス・スペシャリスト。
195cmの大男。風貌とパワーあるプレーから「ビースト」というニックネームで呼ばれている。
が、彼を知る人はその勤勉さと姿勢を褒め、素晴らしい人間と言う。

修造チャレンジで、小学生の錦織を指導したボブ・ブレットは現役時代のミルニとも親交があり、その人柄と能力を認める。
「ミルニとケイ、二人での化学作用、新しい出会いによる良い結果」を期待したいと言う。

1993年から2018年シーズンいっぱいまでプレー、26年のキャリアにおいて、男子ダブルスで52個（準優勝46回）、男子シングルス1個（準優勝3回）のタイトルを獲得している。

最高ランキング ダブルス世界1
シングルス18位

2003年にはダブルス世界ランキング1位を記録。シングルスでも最高ランキングは18位（2003/08/18）だった。
男子ダブルスのグランドスラムで6度優勝、そのうち、全仏オープンでは4度優勝している。

全仏オープン優勝のミルニ/ネスター

ミックスダブルスでは1998年ウインブルドン（Sウィリアムズ）、USオープンは1998（Sウィリアムズ）、20007（アザレンカ）、2013年（Hlavackova）と合計4度の優勝を経験している。

オリンピックでは旗手
混合ダブルス優勝
IOC選手委員 立候補

オリンピックには2000年から2016年まで、5度出場。

2012年ロンドンではベラルーシの旗手を務め、混合ダブルスでは、ビクトリア・アザレンカとのペアで金メダルを獲った。

東京オリンピックで実施されるIOC選手委員選挙に立候補、30人中の一人として認められた。（ミルニはInstagramで「このニュースをお知らせできてハッピーだ」とコメント。）

日本からは、北京とロンドンオリンピックの銀メダリスト、フェンシングの太田雄貴が立候補している。
選手委員はオリンピック参加選手の投票で、立候補30人中の4人が当選となる。

ミルニ オリンピック手記
金メダルを取ったロンドンオリンピック、ベラルーシでは国をあげての凱旋パレードを行うが、ミルニはそれに参加せず、ネスターとの約束でATPトロント大会に直行する。
ミルニの代わりに両親、子供が誇らしげにパレードを行進、ミルニはその姿をカナダでTV観戦したと言う。
国をあげてのイベントよりパートナーとの約束を先行する。なかなかできないこと。偉いな～あ!

2011年から9年間コーチとして行動をともにしたダンテ・ボッティーニとの契約は10月に解消した。ボッティーニはその後チリの若手、24歳のN・ジャリー（最高ランキング38位）のコーチに就任している。

記事:塚越亘/塚越景子 写真 佐藤ひろし/tennisjapan