ダニエル太郎 逆転勝利！「諦めなかった」スランプからの脱却【全米オープン】

8月30日、USオープン3日目

シングルス１回戦が行われ、ダニエル太郎はT・ポール（米国）に6-1､4-6､4-6､6-2､6-2と大接戦の末に逆転勝ち。USオープンで初勝利をあげた。
2回戦ではNo.1で第1シードのR・ナダル（スペイン）と対戦する。

この日、日本人プレイヤー5人（ダニエル、杉田、日比野、尾崎、奈良）が勝利。
もしダニエルと杉田が共に2回戦を突破すると、3回戦で二人は対戦する。日本人同士の戦いとなるかもしれない。

ダニエル太郎vsポール 1回戦

ダニエル太郎は、アメリカ期待の20歳のトミー・ポール（米国）に逆転勝ちをした。

≪ダニエルのインタビュー≫

――「次のナダル戦は今は全く考えていない。」
1回戦突破にひとまず安心したように、そして自分のプレーを振り返り、自信をつけるかのようにダニエルは言った。

「最近勝てていなくて、実は今日も勝てる自信がなかった。
でもとにかくあきらめない。第４セットは第１セットのようにできたので良かった。
連続して負けるとフューチャーに下がっても勝てる気がしないけど、こうやってでかい試合に勝てると自信がついてくる。」とダニエル。

今年のダニエルは思うような成績が上げられずにいた。
ウィンブルドン以降5大会連続１回戦負け、8月のカナダ・チャレンジャーでやっと1回戦に勝てた。

ダニエルはその時のことをこう話した。

「全仏では熱中症の状態で出る中、第５セットまでやった。ウィンブルドンでもいい試合をしたが、精神的なエネルギーが出なかった。
いい試合をしても負ける。さらに負けると、“うわー、これがずっと続く”と思ってしまう。モチベーションが上がってこなかった。本当に勝てるという自信がない。たまにそこにいるだけということがある。」

「特にチャレンジャーで負けたりすると落ち込む。どんなにポジティブな人でも誰でも落ち込むと思う。逆に勝つとメンタルのエネルギーが出てくる。」

いわゆる“スランプ”の状態。心が安定しないまま試合を迎えていた。
しかし、全米初戦でのダニエルは最後まで決して諦めなかった。
大接戦の末に逆転勝ち。プレーだけでなく、気持ちも勝る試合だった。

ダニエル「今日は第４セット、あきらめなかったのが良かった。対戦相手のポールはワイルドカードだからと言って、超ラッキーとは思わなかったし、普通に本戦選手だと思っていた。アメリカ人はアメリカでは特にいいプレーをしてくる。」

ポールは前哨戦のワシントンDCで準々決勝で錦織圭に敗れたもののマッチポイントを握る健闘を見せた選手だ。
錦織 米20歳にマッチポイント握られるが逆転勝利 CITI OPEN

ダニエル「精神的には“ドラマチック”な闘いだった。第4セットで気持ちが落ちそうだったが、今日勝たないとダメだと言い聞かせた。」

次戦の事を問われると、
「次はナダル。今のところ、全然わからない。フェレールのつながりで新年会に出てナダルとご飯を食べたぐらいで、ナダルとは話していない。まだ“テレビのナダル”という感じ。もちろん全部を使ってバーと攻めていきたい。」とダニエル。

最後に、「大坂なおみ選手の6-3,6-1の勝利はすごい！シャイだから会場でも“Hi！”というぐらい。
女子にも負けずに僕も頑張っていきたい。」

今年のグランドスラム最後の大会、24歳の青年にまた火が付いた。

記事:塚越亘 塚越景子 森下泰 西谷明美 写真:佐藤ひろし/TennisJapan