杉田祐一「今年ググッと世界が変わった」 全米初勝利【全米オープン】

8月30日、USオープン3日目

シングルス１回戦が行われ、杉田祐一（三菱電機）とダニエル太郎（エイブル）がUSオープンで初勝利をあげた。
女子では日比野菜緒（ルルルン）、尾崎里紗（江崎グリコ）がグランドスラム大会で初めて初戦を突破した。
奈良くるみ（安藤証券）も勝利、USオープンでは2013以来5年連続の2回戦進出を決めた。

この日は見事日本人プレーヤー5人全員勝利だ。

杉田はブランカノー（フランス）と雨天順延となった第３セット途中から再開し、6-2､6-2､6-0で快勝した。
2回戦でG・メイヤー（アルゼンチン）と対戦する。

ダニエル太郎はT・ポール（米国）に6-1､4-6､4-6､6-2､6-2と大接戦の末に逆転勝ち。2回戦ではNo.1で第1シードのR・ナダル（スペイン）と対戦する。
この勝者同志が3回戦で対戦するので、杉田祐一対ダニエル太郎の可能性もある。

杉田祐一vsブランカノー 1回戦

対戦相手は2016年全仏オープンジュニア優勝者、ブランカノー。フランス期待の19歳。331位だが仏テニス協会と米テニス協会の交換プログラムの元、主催者推薦で出場している。

前日の29日は杉田が6-2､6-2とリード、第3セットの最初のゲーム、デュースになったところで、降雨順延された。
再開後、このデュースゲームを取り、早々と相手のサービスゲームを破ると、わずか約15分で1ゲームも与えずに快勝した。

≪杉田インタビュー≫

――「USオープン初勝利は嬉しい。アメリカシーズンはいい感じ。いいテニスができている。」

初戦晴々しいストレート勝利をおさめた杉田は、何か一皮むけたような表情でインタビューに答えてくれた。

「今年ググッと世界が変わった。（下部ツアーでなく）ATPツアーに回れるようになったのは全ての面で大きい。2009年からUSオープン予選にチャレンジして長いと言えば長かった。でもそれを感じさせないぐらい変わった。この数カ月で。」

本人が言うように、今年は杉田にとって飛躍の年。
アンタルヤ・オープンで日本人3人目のツアー優勝をし、ATPマスターズ1000では自身初の8強入り、自己最高ランキング43位と松岡修造を超え錦織に続く選手となった。

杉田「メディアを初め、たくさんの方が注目してくれている。相手選手も警戒しているのがわかる。今はバランスよく落ち着いてプレーできていて、フィジカルもメンタルも技術面もバランスが整ってきた。
練習でもマスターズ初ベスト8でおめでとうとか声を掛けられるようになった。」

今回の初戦について。
杉田「自分のテニスはフラットで相手に時間を与えないことを目指している。ラリーで相手が引き気味になったら攻めるのが今日は上手く行った。
2回戦からは上の選手と当たる。先のことは考えない。一戦一戦戦うだけ。今日も感じたが、若い選手は１回乗ると怖い。危機感はずっとあった。なるべくチャンスを与えないようにしていた。」
と振り返った。

次戦の意気込みを問われると、
「目の前の試合だけに集中。昨年からあまりドローを見なくなった。一戦一戦フォーカスして先のことは考えない。余計なことを考えずに済むから。
ここまで成績を出したのも初めてで、プレッシャーを楽しみにしている。絶対にやってやるという気持ちで自分自身のレベルを上げていきたい。」と杉田。

最後に、
杉田「錦織選手が今回いないので、私が日本選手では一番上なので、自分のテニスを見失わないようにしたい。環境が変わってもやることは変わらない。フォーカスして頑張りたい。」

「グラスの後、ハードでも結果を出すことが大事。シンシナティベスト8は大きい。ここからは上の選手と当たるのでワクワクしているし、チャレンジャーの気持ち。自分のテニスを出すのが大事だと思う。」

錦織圭が右手首のケガで、今季いっぱい欠場。杉田に日本男子の期待がかかる中、杉田は「絶対にやってやろうと思っている」と頼もしい言葉を発した。

記事:塚越亘 塚越景子 森下泰 西谷明美 写真佐藤ひろし/TennisJapan

地力の勝利　杉田祐一