「本戦と予選では天と地の差がある」と言われますが、トーナメントでは時に差別じゃないかと思うほどはっきりとした線引きがあります。
もちろん、実力の世界なので強いもの、ランキングが高いものが優遇されるのは当然です。まず、ウィンブルドンは本戦と予選で会場が違います。予選を勝ち上がらないと会場に入ることすら出来ません。負けてしまった時は会場に入れる苦肉の策として、本戦の選手の「ゲスト」もしくは「コーチ」としてIDを申請します。選手としては同じライバルの選手から「ゲスト」や「コーチ」のパスをもらう訳ですから気持ち的に複雑ですし、屈辱的でもあります。でも、文句は言えません、負けた自分が悪いのですから。
グランプリ以外は予選負けは賞金も出ません。ITFジュニアは本戦ならホスピタリティーが付き、ホテル代や食事代が大会側から支給されます(G3以上)。ジュニアは賞金を稼いでないからプロではないと言われますが、ホスピタリティー=お金。世界を回るジュニアはこの時点から勝つか負けるかに生活をかけています。
この他にも練習ボールやコート、会場までの送迎など、細かいことを言えばきりがないくらい本戦と予選ではあらゆる面で待遇が違います。しかし、なんといっても一番大変なのは「予選を勝ち上がらなければならない」ということです。上のレベルに行けば行くほど本戦と予選の差はないので、その中で2~3回を勝ち上がるのは体力的にも精神的にもタフではないと勝ち上がれないと思います。宏紀が今回、韓国のフューチャーズを回避してインドに行くことになったのもその理由です。韓国は予選でリストも動かず、本戦に入れる可能性が低いので、保障はありませんでしたが、より試合の重なる時期のインドであれば本戦に入れそうだったのでインドに行くことにしました。インドはジュニア時代意外と相性が良かったという理由もあります。結果は本戦からになり、賭けは成功しました。後はチャンスを生かして頑張ってもらうだけです。
それを考えると今年の全豪で予選を勝ち上がった伊達さんは改めて凄いです。もちろんこれまでの経験はありますが、復帰後初のグランドスラムで予選を勝ち上がるわけですから、WBCのイチロー選手ではないですが「何かを持ってる」人ではないでしょうか。
次のフレンチも期待してしまいます。
コメント
谷澤さんの文章とてもためになる話でありがたいです。
海外遠征大変だと思いますが、宏紀くんに頑張ってとお伝えください。
後写真もありがとうございましたとお伝えお願いします。
どの大会に出場するか…の時点で駆け引きがあるのですねぇ!やっぱり過去に勝っている大会や場所だとやりやすいとか、気分的にノリやすいとかあるのでしょうか?それが相性がいいってことかな?思い入れがあったりもするのでしょうね。
椎さん
コメントありがとうございます。
宏紀に伝えておきます。
宏紀にとってこれからが大変な時期なので
今後も応援よろしくお願いします。
ななさん
コメントありがとうございます。
「どの大会に出場するか」プロになると
選択が多くなる分、難しいです。宏紀はインドの
暑さやカレー三昧という厳しい環境も嫌いではない
ですし、同じ会場で良い成績を出しているので
良いイメージがあります。その辺が今回インドを
選んだ理由です。相性の良さを生かして頑張って
欲しいです。