
『ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権』16歳以下での優勝を経て、ファーストリテイリング財団が贈呈する副賞のIMG遠征で錦織圭選手からの助言や世界基準を体感した上方璃咲選手。「優勝は通過点」と言い切り、相手やスタッフへの感謝とリスペクトを胸に成長を継続。高校卒業後、9月からは米国の大学へ進学し、その先のプロの道を見据える飽くなき向上心に迫ります。
Q 全日本ジュニアは上方さんにとってどういう大会でしたか?
上方 16歳以下の早生まれを使って出場し、優勝しました。年下の中で「絶対ここは取るしかない」という強い気持ちで練習に取り組み、優勝できてホッとしたというのが正直な思いでした。決勝の相手は強く、その4か月前は完敗していたのですが、有明のコートが得意で、気分よくプレーできました。実感としては「勝ったんだな」と表彰式で実感した程度で、優勝に浸ることはあまりありませんでした。
Q 結構クールだったのですね
上方 嬉しさもありましたが、全国優勝に対してまだ納得できておらず、「もっとできることがある」と考えていました。優勝は通過点であり、次のステップへの課題が見えました。
Q 優勝までに自分にとって壁を感じたことはありますか?
上方 高体連の試合ではトップでしたが、全日本ジュニアではITF大会の経験のある選手たちと対戦し、「高校の中では通じても、世界を経験している子には通じない」という現実を感じました。考えかたもプレーも日本一にならないと全日本ジュニアは取れないと考え、そこを突き詰めることに取り組みました。
Q どのようにプレーしていましたか?
上方 とても暑い時期なので、体力を温存する方法を徹底的に考えました。相手が嫌がることや、自分の体力を残すためにどうするかを常に考え、冷静になることを意識してプレーしました。
Q 悔しかった負けはありますか?
上方 18歳の全日本での負けが最も悔しいです。16歳で優勝したので「もう一回18歳で取りに行くぞ」と思っていたのですが、インドアコートに変わり、速いコートが得意ではありませんでした。セカンドセットから相手が対策してきたことで守りに入ってしまい、自分らしいプレーができませんでした。
Q では楽しかったことは?
上方 全日本ジュニアは全員で暑い中頑張り、勝ち進む中で友情関係が生まれました。「今日も頑張ったね」「また明日応援しているよ」といったことが勝てば勝つほど増えていき、それがモチベーションになりました。
Q 全日本ジュニアを通じて一番学んだことは?
上方 プレーとメンタルだけでなく、感謝とリスペクトが最も重要だと学びました。相手、審判、大会運営スタッフの皆さんへの感謝。一人ではできず、支えてくれる裏側の方々への感謝ですね。ヒートルールで試合が止まっていても、ずっと動いてくださっている方がいる。「こんなに暑い中頑張ってくれているのだから、やりきろう!」という気持ちが生まれ、勝っても負けても「誇れる自分」というのをモットーに戦いました。
Q IMGアカデミーはどのような印象でしたか?
上方 YouTubeやテレビでしか見たことがなかったのですが、実際には想像以上に大きく、テニスだけでなく他の競技も多くありました。立地も良く、ユニクロの派遣メンバーと同じ部屋で過ごしました。
Q 印象的だった出来事は?
上方 錦織圭選手と練習させていただき、アドバイスをもらえたことが嬉しかったです。海外選手とも打つ機会があり、高校では経験できない新しい体験ができました。自分はバックハンドが得意だと考えていたのですが、錦織選手に「フォアでいいショット打てているから、もっとフォア中心でやった方がいい」と言われました。その言葉で自信を持ち、その後はフォアとサーブを中心に、男子のようなプレースタイルを目指すようになりました。
あとはアメフトみたいなゲームをやったのが楽しかったです。テニスは個人スポーツなので、チームで点を獲るというのが楽しかったです。

Q 上方さんが考えるテニスの楽しさ、面白さというのはどういうところでしょう?
上方 もちろん練習はするのですが、練習したから成果が出るのではなくて、相手との駆け引きだったり、自分の考えだったり、試合の中で得るものがたくさんある。それに適応した人がいちばん勝っていける、大会で優勝できると思っています。どうやったら相手が嫌がるか、自分が優位に立てるかを3セットの中でいっぱい考えて、そして勝てたときが一番気持ちのいい瞬間なので、その嬉しさとか、楽しさのためにテニスをしているのかな、と思います。
Q アメリカの大学へ入学するそうですが、 IMGでの経験が大学選択に影響しましたか?
上方 はい。IMGで世界の選手と練習した後、カレッジプレーヤーと対戦したことで、「通用するところもあるけど、足りないところも見える」と感じ、挑戦したい気持ちが膨らみ、アメリカ大学進学への決意が強くなりました。
Q アメリカか日本か悩みましたか?
上方 言語とテストの大変さを聞いて、日本の大学でプロを目指す、すぐにプロになる、アメリカの大学に行ってプロを目指すという三択で悩みました。その中で「経験値、語学、勉学、プラスが多い」と判断してアメリカを選びました。
Q アメリカの大学に行ってもプロは目指しますか?
上方 はい。テニスを辞める未来が見えないと言った方がいいです。自分からテニスを取ったら何が残るのかと考えることが多く、選手になりたいという想いは変わりません。
Q これまで支えてくれた人たちの思い出は?
上方 コーチは暑い中も寒い中も一緒にコートに立ってくれました。親は親元を離れた見えない環境で、口を出さずずっと見守ってくれました。両者に大きな感謝があります。
Q 最後にこれから行われる全日本ジュニア出場選手へのメッセージをお願いします
上方 みんなが優勝を目標としていると思いますが、勝つことも負けることも、いいことも悪いことも、すべてが自分を強くしてくれます。そこに惑わされず、一日一日を大切にして頑張ってほしいです。

取材・構成/Tennis.jp


