
「木下グループジャパンオープン2026」(東京・有明コロシアム/ATP500)は、10月5日、大会6日目を迎え、男子シングルス準決勝の2試合および男子ダブルス準決勝1試合が行われた。
第1シードのカルロス・アルカラスと、予選から勝ち上がってきたハウメ・ムナルのスペイン対決は内容が濃いものとなった。第1セットでは2人ともファーストサービスの確率が悪くラリー戦となる。3-3のゲームでリターンから攻めたアルカラスがブレークに成功し、流れはアルカラスに行くかと思われた。
しかし、予選から戦い続けているにもかかわらず疲れも見せないムナルは、ラリーで左右に振られてもスライスでしのいだり、カウンターを狙う。ドロップショットを打たれても追いつき、ボレーで決める。有明で勝ってきた自信もあるのだろう。精彩を欠くアルカラスにラリーで対抗していく。

アルカラスは「いい形で試合を始めることができなかった。5-4になってから、どうしたのか崩れた」と、最後のゲームではダブルフォールトを2本も犯して、第1セットを失った。
「第2セットの途中まで、サーブもベースラインからのショットも自分のレベルが低かった」と、言うアルカラス。球速を落としてコントロールしつつもミスが出たりと思いようにいかなかったが、スコア上ではリードしていく。
お互いがコートを広く使い、相手を動かしてロングラリーが何度も展開される。その中でアルカラスの調子も徐々に上がってきたのだろう。第2セット5-3のゲームでは、ラリー中にパワフルなショットを織り込み始めて、6-3でセットをものにした。第1セットでは53%だったファーストサービスの確率も、第2セットでは69%まで上昇。徐々にリズムをつかみ始めていた。
ファイナルセットでは、アルカラスがパワーのあるショットを引き続き打っていく。ミスは出るものの強打を混ぜることで、ネット際に落とすドロップショットの効果も上がる。流れをつかむと、一気に畳みかけて6-1で勝利した。

絶好調だった昨年との違いを聞かれて「安定感」と答えたアルカラス。「良いテニスをするには安定感を高いレベルを保つことが必要」と言い、それは徐々に戻ってきているとも感じている様子。
「最終的に勝利できてうれしい」と、昨年に続いての決勝進出を喜び、「今は過去のレベルに戻していこうという気持ちでやっている。昨年は多くの試合をこなしてここに来て、自信を持っていた。その点は違う。でも、良いレベルに戻る道を見つけていきたい。気持ち的には高まっている」。連覇を達成して、プレーレベルをさらに上げていきたいところだ。

もう1つの準決勝はノーシードのイジ・レヘツカ(チェコ)と第8シードのバランタン・バシェロ(モナコ)の対戦。2人とも時速200キロを超えるサービスをコンスタントに打って主導権を握るため、サービスゲームは安定している。
勝敗を分けたのは、リターンだった。レヘツカは、「多くのボールを返球できただけでなく、彼のセカンドサーブに対して、自分の望むリターンのリズムをつかむことができた」と言う。その言葉どおり、相手のセカンドサービスのリターンからのポイント獲得率が68%と高かった。
サービスが入らずバシェロがイラつくなか、レヘツカはセカンドサービスになるとリターンから攻めて、ラリーに持ち込む。安定感のあるストロークとフラット系で決めるショットでポイントを取って行く。サービスは終始高いレベルで安定し、ストレートで決勝進出を決めた。

レヘツカは「素晴らしい試合ができた。チームで考えた戦略をすべてうまく出すことができた」と、良いプレーができたことを喜んだ。
これで決勝は、アルカラス対レヘツカに決定した。対戦成績は3勝1敗でアルカラスがリードしている。レヘツカは「アルカラスは現在、どのテニス選手にとっても難しい相手になると思う。十分な準備をして大一番に臨みたい」と気合を入れた。
ケガから復活し、全盛期の調子を取り戻そうとしているアルカラスと、プラン通りに実行できるほど調子が良いレヘツカ。明日は熱戦が期待できそうだ。

■シングルス準決勝■
○ C・アルカラス (スペイン) [1] 5-7 6-3 6-1● J・ムナル (スペイン) [Q]
○ J・レヘツカ (チェコ) 6-4 6-2 ● V・バシェロ (モナコ) [8]
■ダブルス準決勝■
○ A・クライチェク / N・メクティッチ (アメリカ/クロアチア) [4] 7-5 7-6(3) ● S・ボレッリ / A・ババソリ (イタリア) [1]
取材:赤松恵珠子 写真:伊藤功巳

