柳川高vs早大 相生学院vs三菱電機 垣根を超えた対決 ボブ・ブレットの遺志

コロナ禍で世界のトーナメントが開催不可能だった昨年、生まれ故郷のメルボルンにいるボブ・ブレットと話した。
テニスの話になると止まらない。
そして話は日本のテニスについても
「選手を育てる為にはレベルの高いところで闘うことが必須だ。
テニスはより強い環境でプレーしないと強くならない。
コロナ禍で世界へ移動できない今、日本はジュニア、中学、高校、大学、実業団、各レベルを高く、厚いものにしたら良い。
組織のしがらみのない交流ができたら・・・・・・・」
と言う話になった。

ボブを実業団テニス決勝に連れていたったことがある。
その時、ボブは東京都体育館の満員の観客と熱烈な応援合戦に驚いていた。
「無観客のグランドスラム大会より満員のところでプロはテニスがしたいだろう。
そんな舞台で若いプレーヤーにプレーさせたい」。

だったらと私は続け「日本の実業団テニスの監督とかコーチにトライしてみたら」と。

盛田正明氏が日本テニス協会会長だった時、日本はデ杯監督を公募した。
私はボブに代わり応募、ボブはデ杯スーパーバイザーになった経緯がある。

「ボブが監督だったら、ジュニアもボブに習いたいと来る。
ジュニアにとっては実戦の最高の場、実業団にとっては若い選手のリクルート活動にもなる。
実業団の選手にとっても刺激になるだろう。
実業団しかも団体戦で戦うのは自分一人の戦いと違い責任感、緊張感があり良いことだと思う」。

そんな話をコロナ禍でテニスツアーが困難な時に私とボブはおしゃべりしていた。
ボブは既にガンが宣言され病院に通っていた。
でもTV電話でのボブは元気そのもの、いつのも情熱でその話に乗り気になっていた。
ボブだったら、チームに囚われず、誰隔てなくアドバイスを送るだろうし、質問されれば親身になってアドバイスをしてくれるだろう。
残りの人生を人の為になにかしたい、ボブの気持ちは私と同じで良くわかる。

残念ながらボブの思いはかなわなかったが、高校、大学、実業団、プロの垣根を取り払った大会が、実業団テニスに優勝した橋本総業の橋本政昭社長と杉山記一男子監督、吉田友佳女子監督の音頭、盛田正明氏の協力で実現する。

男子は4月10、11日の盛田正明杯『Japan Premium Tennis Tournament(JPTT）』
橋本総業HD、三菱電機、レック興発、伊予銀行、三井住友海上、プロ選手会選抜、早稲田大学、慶應義塾大学、相生学院高校、柳川高校（全10チーム）。

女子は子4月17、18日の橋本政昭杯『WOMEN'S TEAM Tournament 』
橋本総業Aチーム、橋本総業Bチーム、慶應義塾大学チーム、筑波大学チーム、四日市商業高校（全6チーム）。

新型コロナウィルスの影響で2020年度に戦う場を失った実業団、プロ、大学生、高校生、全てのテニスプレーヤーに活躍する場を提供、今までになかった世代を超えた団体戦。
将来は毎年天皇杯を争うような枠を超えた団体戦にしたいと言う。

「日本のテニスを強くしたい」ボブの遺志も受け継がれている気がする。ユニークな大会として育て欲しい。

この組織間の垣根を払うのは簡単そうで簡単ではなかっただろう。
「こういった大会を継続していけばテニス界が変わってくる」
「プロも世界で戦ってきた経験を生かし、ジュニアやファンに夢や希望を与えるプレーをしてくれると思う」
盛田正明氏、橋本政昭氏二人のテニスに対する行動力と情熱は熱い。

記事:塚越亘 塚越景子 写真協力:杉山記一