この3日間、アカデミーの屋根の改修工事の為に、プレイヤーズクラスの練習を外部コートで行いました。2日間は球足がとても速く、あまりボールが跳ねないハードコート、もう1日は逆に球足がとても遅く、ボールが高く跳ねるハードコートと、真逆のコートでの練習です。
違ったサーフェス、コートへの対応はジュニア時代から経験を積ませたい所です。
選手の練習を見ていて気づいたのは、遅いコートの方が、フットワークの良し悪しが顕著に見られるということです。速いコートでは何となくボールの後ろに入って返していたのが、遅いコートでは、ボールの後ろに正しく入って打つ事が出来ない為に、まったく威力の無いボールになってしまいます。タイミングだけで打っていた選手は、相手にしっかりと構えられて重いボールを打たれると、相手のボールの勢いにはじかれてボールのコントロールを失ってしまう事がよくあります。
戦術を使ったテニス、コートを立体的に使ってポイントを組み立てる選手を育成したい場合、練習するコート環境は重要なポイントになると思います。コーチが口を酸っぱくして戦術の必要性を継続して伝えても、本人の成功体験を元に効果を得られなければ、身に付ける事はなかなか難しいことでしょう。
例を2つあげると、「相手のバックに高いヘビーボールを打ってチャンスを作る」という戦術を
指導したい場合、オムニコートの様なコートでは、ボールが跳ねずに、相手にコートの中に入られて攻撃される事が多い為、選手はこの戦術の有効性や効果は感じにくいでしょう。
ボールが跳ねるハードコートや、クレーコートであれば、この戦術の効果を選手が経験の中から理解していくので、自然に使用出来る様になっていきます。
(このようなボールを打った事がない選手は、相手のバックにヘビーボールを打つことを指示すると、高いロブになることもあります。打ち方自体を知らないのです。)
もう1つは「相手のボールが短くなった時に、ボールが上がって来た所でサイドスピンのラットショットを打つ」という戦術です。
常に速いハードコートで練習をしている選手は、縦回転のトップスピンの掛かったボール、そして打点を落として打っても決まってしまう事がある為に、球種の有効性に気づきにくくなります。遅いハードコート、クレーコートで、このようなボールを打っていても全く決まらないので、選手はサイドスピンのショットに自然に取り組んでいくことになります。
どのコートで練習をしても、ペースを落としたり、立体的なテニスといった戦術を使用したプレースタイルは身に付くことでしょう。ただし有効性を気づきにくいというのは、事実だと思います。
ではどうするか。選手が自分達で気づいていく為に、色々なサーフェスで練習をする機会をコーチが作ってあげることでしょう。国内なのか、海外なのか、選択肢は無数にあります。
U14ATFマレーシアのペナンでの試合は、オムニコート。
おそらく私達の選手は経験した事がないでしょうから、苦労する姿が想像出来ます。