7月14日 ウィンブルドン DAY 11

ウィンブルドン女子ダブルス準決勝で二宮真琴(橋本総業)/ボラコバ(チェコ)組が第9シードのチャン・ハオチン(台湾)/ニクルスク(ルーマニア)組に6-7(4),6-4,7-9 3時間の大激戦の末に敗れた。

ファイナル・セットでは5-4リード、相手サーブながらあと2ポイントで決勝進出と言う場面があった。

「悔しいが、今できることは精いっぱいやった。
すごく楽しかった」。と二宮真琴。

試合前にはちょっとしたハプニングがあった。
二宮は広島県広島市生まれで、大の広島カープファン。
今大会はハートに「Carp」の文字が彫られた髪留めを使って勝ち続けてきた。

ところが、大会関係者に「それには何て書いてあるの?」
と聞かれ、「日本のプロ野球チームの名前」と答えると「それは宣伝になるからNG」と言われたと言う。
二宮はしかたなく、Carpの髪留めをやめた。
小さな「C」の飾りがついた赤のヘアゴムで準決勝にのぞんだ。

コートに立った4選手のうち、最もリラックスし、最も自分の力を発揮したのが、恐らく二宮真琴だった。
戦いの舞台は、観客収容数1万1400人の1番コート。
それでも二宮は、コートに入った時「テレビで見るよりも、小さいな……」と感じていた。

試合前には、モニター越しにそのコートを見ながら「凄く大きいスタジアムだ。絶対に緊張するだろうな……」と尻込み、手が冷たくなるのも感じていたという。
にも関わらず、実際に試合が始まった時には既に「そんなに大したことはない。緊張もない」と思える自分を感じていた。

ただその二宮とは対象的に、パートナーのボラコバには硬さが見える。
そんな相棒の緊張を感じつつ、二宮は「私は、私にできることをやろう」と自分に言い聞かせ、時にはパートナーの顔色を伺いつつ「ポジティブに行こう!」と声を掛けた。
大会序盤では、10歳年長のパートナーに引っ張ってもらうことも多かった二宮が、走り回り、声を出しながら力強く試合を牽引した。

対して相手のニクレスク/チャン・ハオチン組も、チャンの方にミスが目立つ。しかしそれをカバーし巧みにゲームを作ったのが、スライスの名手のニクレスク。
二宮とニクレスクが試合を組み立てるなか、如何にボラコバとチャンが噛み合ってくるか……似た構造を抱えた両チームは五分に組み合い、試合はファイナル・セットへともつれ込んだ。

その最終セットで先にチャンスへと足を掛けたのは、二宮たちだった。
5-4で迎えた相手のサービスゲーム、
二宮のストレートへの鮮やかなパッシングショットで30-30とする。(決勝進出まであと2ポイント)
相手サーブで40-30となるが、二宮の勇気ある前衛アタックでデュースへと追いつく。

決勝進出まであと2ポイントの場面がまた来た。

二宮は、ここで「この試合一番」の勝負に出た。
ニクレスクのリターンと同時に、仕掛けたポーチ――。
だがここで試合巧者のニクレスクは、それまでほぼ打つことがなかった、ストレートのリタ―ンを使ってきた。
ボールの行方を目で追い、思わず天を仰ぐ二宮……。

さらに続くポイントでは、二宮の逆クロスのリターンが、チャンのポーチに止められる。
「自分の中では勝負に出たけれど、相手もちゃんとそこは見ている。やっぱり、うまい……」

もしかしたら、この時に感じた相手の「うまさ」が、その後の展開に影響を及ぼしたかもしれない。
ゲームカウント6-6で二宮は、この試合初めて、自身のサービスゲームをブレークされる。

その直後のゲームをレークバックするも、続くゲームでは、相手にリターンウイナーを2本決められ、またもブレーク。
最後は、フォアに回りこみ叩き込んだ二宮のリターンが僅かにラインを割り、2時間58分の熱戦に終止符が打たれた。

「一番の気持ちは、悔しい」

試合後、二宮は胸を占める最大の感情を、そう率直に打ち明ける。
だが同時に「自分のできることは精一杯やったと試合後には思えたので、悔いはない」とも明言した。

「これまではサービスゲームに自信が持てなかったり、相手の強打に引くことも多かった。そこを今回は克服できた。
課題もあるけれど、今後も自分の良いところを伸ばしたいと思います」。

試合後の二宮は、間違いなく過去ではなく、未来に目を向けていた。

(テニスライター/内田暁)

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女子ダブルス

<<女子ダブルス準決勝>>
〇9]ハオチン(台湾)/ニクルスク(ルーマニア) 76(4) 46 9-7 ●二宮真琴/ボラコバ(CZE)

<<女子ダブルス準々決勝>>
〇二宮真琴/ボラコバ(CZE) 64 64 ●クズネツォワ(RUS)/ムラデノビッチ(FRA)

<<女子ダブルス3回戦>>
〇二宮真琴/ボラコバ(CZE) 64 64 ●5]ハラデツカ/シニアコバ(CZE)

<<女子ダブルス2回戦>>
〇二宮真琴/ボラコバ(CZE) 64 76(4) ●ロブソン/Rae(GBR)
〇ゲルゲス(GER)/ストリコバ(CZE) 64 62 ●青山修子/YANG(CHN)
〇バーティ/デラクア(豪州) 36 63 10-8 ●土居美咲/荘佳容(TPE)

<<女子ダブルス1回戦>>
〇二宮真琴/ボラコバ(CZE) 61 62 ●BOSERUP/MCHALE(USA)
〇青山修子/YANG(CHN) 63 67(5) 62 ●RODINA/VIKHLYANTSEVA(RUS)
〇土居美咲/荘佳容(TPE) 64 61 ●KALASHNIKOVA(GEO)/SCHIAVONE(ITA)
〇13]FLIPKENS(BEL)/MIRZA(IND) 64 63 ●大坂なおみ/張帥(CHN)
〇Q)ADAMCZAK/SANDERS(AUS) 61 62 ●16]穂積絵莉/加藤未唯
〇LUCIC-BARONI(CRO)/PETKOVIC(GER) 62 36 63 ●日比野菜緒/ロソルスカ(POL)
〇Bellis(USA)/Vondrousova(CZE) 62 60 ●大前綾希子/ムーア(豪州)
女子ダブルスドロー

ウィンブルドン ダブルス賞金
優勝賞金400,000ポンド(6000千万円)
準優勝:200,000ポンド(3000千万円)
4強:100,000ポンド(1500万円)
8強:50,000ポンド(750万円)
3回戦:26,500ポンド(400万円)
2回戦:16,500ポンド(250万円)
1回戦:10,750ポンド(160万円)賞金総額31,600,000ポンド(約45億円)内訳PDF
ウィンブルドン・ドロー
ライブスコア
ロンドン現地時刻(時差-8時間)

混合ダブルスドロー

(記事塚越亘/kyoko 協力/内田暁 写真/佐藤ひろし/TennisJapan)

悔しいが、すごく楽しかったと二宮真琴