18歳以下表彰

「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2026」(2026年8月24日〜9月5日/有明コロシアム及び有明テニスの森公園)は5日、16歳以下と18歳以下の男女シングルス決勝、車いすテニスの決勝が行われた。

■U18女子シングルス

波乱が多かった18歳以下では、決勝で第6シードの 駒田唯衣がノーシードの 服部天寧に6-1、6-2で勝利し、16歳で18歳以下を制した。

準優勝の服部天寧
準優勝の服部天寧

12歳以下で圧倒的な強さを誇った駒田は、その後は常に上の年代に挑戦しており、過去2年は16歳以下に出場している。2回ともベスト8で終わったが、昨年の準々決勝での石井心菜との試合では、「あんなに本気を出して負けたのが初めてで本当に悔しかったので、今年は絶対に優勝するという気持ちで取り組んできました」と、大きな刺激になった。

強い思いを持ったことで、行動も変わる。ヒジをケガしている今の状況でできることを考えた結果、「股関節回りを鍛えて動きが良くなりました。そこが去年とは違うところだと思います」。動きの良さが決勝で駒田を助けることになる。

対戦相手の服部とは、過去に何度も対戦経験がある。そこで、「同じボールを打ち続けると相手はやりやすそうなので、スライスやスピンを混ぜて、相手の打点をずらしていこう」と考えていた。しかし、試合ではこのプランがうまく機能しない。

そんな中で相手よりも上回っていたのが、動きだ。そのお陰で、「ちゃんと打つところは打てたし、相手のミスも誘えました」と勝因を語る。だが、本人はまったく試合内容に納得していない。それでスコアは6-1、6-2なのだから恐れ入る。

優勝した駒田唯衣
優勝した駒田唯衣

駒田は今年初めて、全仏オープンジュニアに出場できた。11歳の時から海外遠征に行っているが、グランドスラムジュニアに出場できたのは初めての事で、「すごいインスピレーションを受けました」と言う。

その舞台では、小柄でもスライスを打ったり、拾い続けるなどして高いレベルで戦う選手たちがいた。小柄なことは負ける言い訳にはならないと思い知らされる。そして、自分に足りないことは「工夫すること。せっかく打ち合える力があるのに、生かせていない」と思い至る。

「上が見えてきて、ワクワクしました」と言う駒田。すべきこと、目指すところがはっきりしたことで、やる気も出て成長も早まったのだろう。

18歳以下を制した今、目指すところは刺激を受けたグランドスラム本戦の舞台と、一般のITFとWTA大会だ。

■U18男子シングルス

18歳以下男子決勝では、インターハイ覇者の第16シード小野倫太郎が第1シードの太田周に6-4、3-6、6-4で勝利して、全日本ジュニアの初タイトルを手に入れた。

準優勝の太田周
準優勝の太田周

「奇跡です」とインターハイと全日本ジュニアを制した小野は、自分が今年の夏に成し遂げた結果を振り返る。今まで全国のタイトルはない。それが、ジュニア最終学年に2つも取れたのだから、予想以上の成果であることは間違いない。

「勝ちたい気持ちはすごかった」小野は、今まで全国大会で目立った成績がなかったためノンプレッシャーで、「自分を試すような試合運びができた」。それでも、インターハイを制したことで、全日本ジュニアでは今までよりもプレッシャーを感じたはずだ。しかし、「チャレンジャー精神でどんどん声を出して、守ることなく攻めることができました」と、挑戦者であり続けた。

声を出し、リードされても引かない小野のプレーはまさにラストイヤーに賭ける挑戦者の姿だった。武器であるバックハンドでポイントを取れるように組み立て、大事な場面では勇気を持って打っていけた。「あんなに打つことはない」というほど、普段なら守る場面でも攻撃していく。

逆転で第1セットを奪ったものの、第2セットでは太田が第1シードの実力を発揮し、パワフルなサービスとフォアハンドでポイントを重ねてファイナルセットへ。流れはどちらに傾いてもおかしくはなかったが、「3-4の0-40からも諦めることなく自分を奮い立たせてプレーできたことが勝利につながったと思っています」という小野のメンタルの強さが勝利を呼び込んだ。

優勝した小野倫太郎
優勝した小野倫太郎

小野が奇跡だという理由はもう1つある。実は今年5月に半月板損傷というけがを負っていた。しかし、「なぜか痛みがなく、お医者さんと相談してやれるところまでやろう」と決めての出場だった。

手術が必要になる場合もあるケガをしながらも、最高の成績を収めたのだから、まさに「奇跡の2冠」である。

取材・写真/赤松恵珠子