アジア、ヨーロッパ遠征 ITF Junior

成耀韓(ソン・ヨハン)選手

 

埼玉県にある、むさしの村ローンテニスクラブ、武正コーチの指導の元で日々トレーニングを行なっている選手です。

今回私は3月に行われたITF ジュニアでマレーシア(G1)そしてその後、オーストリア (G2) イタリア (GA) 、ドイツ(G1)2大会と帯同してきました。

 

ヨハン選手の素晴らしい武器は、大事な場面での集中力の高さ、どの状況でも目的意識がブレない一貫性です。これは日々ホームコートでのトレーニングの成果、武正コーチの高い指導力の賜物だと感じました。またご両親のサポートの形も素晴らしく、ホームコーチ、保護者、ツアーコーチの立ち位置がとても明確な遠征でした。

アジアでのITFジュニア、そしてヨーロッパでのITFジュニアの最大の違いはプレーの質が全く違うということです。ヨーロッパの選手達は低年齢から癖のあるプレーヤー同士で凌ぎを削り合い、クレーコートという舞台で徹底的にテクニック、タクティクスを学んで今の舞台に立っています。いわゆるどの選手も簡単には勝ってきていないなという印象があります。

今日、海外の様々な情報が流れていますが、実際に足を運んで経験してみなければわからないこともあります。そういう意味ではヨハン選手はアジアだけでなくヨーロッパという競争意識の高い場所でチャレンジできたことは、選手はテニスのレベルだけでなく、今後のキャリアへの世界観やマインドセット(考え方)がアップデートされていったのではないかと思っています。

(ドイツの遠征中一緒だった日本のトップジュニアの田島尚輝選手。ヨーロッパに10週間遠征。ハンガリーのLevineコーチとタフな遠征を共にしていました。)

今回ツアーコーチとしての私の最大のミッションは決められた時間で課題を克服し、レベルアップした形を残してホームコーチの元へ受け渡すことでした。もちろんITFポイントを稼ぎランキングを上げること、グランドスラムジュニアのランキングに入り込むというのは全員一致の目標なのには変わりありませんが、それよりも育成段階の選手に伝えるべきことはテニスというのはツアーで成り立っており、1大会では一喜一憂するものでないということです。また「誰に勝ったから自分はそのレベルにある」という概念はあまりにも単純で、場合によっては選手自身が自分のレベルを客観視できない状態に陥らせる可能性があります。

選手のレベルは調子がいい日を基準にするものではなく、日々の活動の成果によって測られるものではないかと私は思っています。

ヨハン選手はテニス選手として素晴らしいメンタルを兼ね備えています。ヨーロッパでの遠征では敗戦後はすぐに練習コートへ向かい、取り組むべき課題を淡々とこなしました。悪い状況下でもやるべきことに集中しつつ、修正に関しては貪欲に取り組んでいました。限られた時間、規制があるからこそやるべきことが明確になり、遠征の終盤では選手の感性も研ぎ澄まされていくのがよくわかりました。

改めて感じることはツアーコーチは常に多角的に物事を捉えることができること、そしてクリエイティブでなければならないことです。広い世界観を持って選手と接していかなければならないことが重要だということです。

ヨハン選手はその後、インターハイ、全日本ジュニアを終えて、新たなステージへ向けて行動しています。多くの勝敗を越えて様々な経験をした選手ですので、自信をもって次のステージへ向けて進んでほしいと思います。

最後になりましたが、むさしの村ローンテニスクラブの武正コーチ、成様、温かいサポート有り難うございました。

 

遠征帯同、遠征についてのお問い合わせ

渡部健介

kenny.watabe@1ntegrators.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。全て必須項目となります。