錦織圭集合写真

アメリカのIMGアカデミーで錦織を13歳から指導し方向性を決めてプロにまで導いたゲイブ・ハラミロ氏が、錦織について思い出を語ってくれた。3回目となる最後は、才能がある選手が大勢いる中で、錦織が成功できた理由とは。

他の選手とは違うメンタリティ

これはとても重要なことですが、彼は盛田正明テニスファンドが自分に大きなチャンスを与えてくれたことを理解していて、そのチャンスを確実に生かそうとしていました。それに、挫折して日本に戻れば、両親や周囲の人たちに対して顔向けできないと思い、成功しなければならないと自覚していたんです。だからこそ、自分自身に強いプレッシャーをかけていました。

彼は人一倍練習し、努力を重ね、毎日自分自身に挑み続けていました。目標を達成するために、着実に前進しているかを確認しながら。当時のアカデミーには、ジュニア1位経験者など実力のある選手たちがいましたが、彼らとは違うメンタリティがあったのです。

英語で言えた唯一の言葉が「世界1位」

ケイは脇目も振らず突き進むタイプでした。周囲を気にすることなく、ただ一つの目標だけを見据えていました。他にも良い選手はたくさんいましたが、ケイほどの成功は収められませんでした。彼の努力、犠牲、懸命な取り組み、そうしたすべてが、「ケイ」を形作ったのです。

ただ一つの目標とは、「世界1位」です。彼は最初から、世界一になることを目指していました。アメリカに来た当時は英語が全く話せませんでしたが、「目標は何?」と聞かれると、いつも「世界一になること」と答えていました。英語で言える唯一の言葉が「世界一位」だったわけですが、私はそこが好きでしたね。自分が何を望み、何を成し遂げたいのかという、素晴らしいビジョンを持っていたのです。

ケイは特別な存在

ハラミロ

彼と一緒に仕事ができたことは、本当に素晴らしい経験でした。彼との関わりは、私のキャリアにおけるハイライトの1つです。

世界中のトップ選手たちと出会ってきましたが、私にとってケイは特別な存在でした。盛田氏と、日本人選手を世界トップ10入りさせるという約束を交わしていましたし、それは私自身の夢でもありました。

彼は本当に懸命に努力しました。ツアーを回っている間は、子供や家族とゆっくり過ごす時間がなかなか持てませんから、これからは家族と多くの時間を過ごし、人生のその時期を存分に楽しんでほしいと心から願っています。

(了)

Profile
Gabe Jaramillo(ゲイブ・ハラミロ)
アガシやシャラポワなど11名の世界1位を育てた元IMGアカデミーのテニスコーチ&ディレクター。錦織を13歳から5年間指導して世界レベルにまで育てた。現在はRPSアカデミーのCEOを務める。

取材:赤松恵珠子