11月19日 ロンドンのO2アリーナで行われたNitto ATPファイナルズ

グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が7-5,4-6,6-3, 2時間半の激戦の末、ダビド・ゴファン(ベルギー)を破りATPファイルで優勝した。

ラウンドロビンで1勝する毎に200ポイント、決勝進出で400ポイント、優勝すると500ポイント。
誰にも負けずに優勝したディミトロフは1,500 ATPポイント獲得し、11月20日の最新ATPランキングでは3位になることが決まった。

注目されていた世界1位のラファエル・ナダル(スペイン)、2位のロジャー・フェデラー(スイス)もいない決勝戦。
その二人を破ったのはゴファンだった。

ゴファンはラウンドロビン初戦でナダルを7-6(5),6-7(4),6-4で破り、準決勝では、今まで一度も勝ったことのないフェデラーに第1セットは2-6で落とすが、その後6-3,6-4で破り決勝に進出した。

ゴファン、フェデラーにはこれまで6連敗。先月のスイス室内準決勝ではわずか3ゲームしか取れていなかった。

ゴファンvsフェデラー

全豪オープン、ウィンブルドンなど7大会優勝のフェデラー

今年のフェデラーはオーストラリアン・オープン、ウィンブルドンはじめ7大会に優勝してATPファイナルに出場してきた。
ラウンドロビンでも全勝、まさにこの大会はフェデラーのためにあるように思われていた。

それに対しゴファンは「ロジャーを倒すには、正直なところ、どうしたらいいのか分からない。」と言っていたほど。

大方の予想通り、ゴファンはいきなりブレーク・ポイントを握られる展開。
どうにか長いデュースにし、粘るがサーブを落とす。
第5ゲームもキープできず、2-6。

この試合を見ていたほとんどの人は、やっぱりフェデラーのストレート勝ちと思っていただろう。満員の観客の前でフェデラーの華麗で積極的なテニスが映える。

「前回の対戦よりも、全力を尽くしてみる。どうにか自分のプレーができるようにしていくつもり。」とゴファンはどのボールにも食い下がって返球していく。

第2セットのサーブをキープする。
すると段々にそのひたむきな姿勢に、完璧と思われていたフェデラーのプレーにほころびが。
ゴファンは第2セットを取った。

何と、あんなに完璧だったフェデラーが、ファイナル・セットでもミスが先行し、第3ゲームを先に落とす。
勝負は判らないものだ。
その後はゴファンが勢いに乗り、フェデラーを破ってしまい決勝に進出した。

ゴファンはトッププレーヤー達のツアー離脱のお蔭でギリギリの出場。
ナダルを破り調子を上げてはいたのだが、フェデラーに逆転勝ちをするとは思わなかった。

フレンチ・オープン3回戦では雨天用のカバーに引っかかり右足首を捻挫、しばらくツアーから離れていた。
ツアー復帰後、中国のATP大会、楽天ジャパンオープンと2週連続で優勝している。
次週はデ杯決勝、ベルギーを昨年に続き決勝まで導いている立役者でもある。

錦織圭を慕いよく練習していた。
錦織のファィテング・スピリッツとテニスを見習って成長したプレーヤーだ。

ディミトロフ2017年最初の大会で錦織圭を破り優勝

26歳のディミトロフがATPファイルに見事優勝した。
今年最初の大会、ブリスベンでは錦織圭を6-2,2-6,6-3で破り優勝。
2014年以来の優勝で調子を上げ、自国ブルガリアでのATP250ソフィアに優勝、そしてATP1000シンシナティも優勝。
錦織圭も育ててているIMGアカデミーのニックボロテリがフェデラー2世と言うほど才能あるプレーヤーがいよいよ自分の力を発揮しだした。

準優勝のゴファン、ラウンドロビンではディミトロフに0-6,2-6とわずか2ゲームしか取れずに負けていたのだが、フェデラー戦と同じように冷静沈着に試合を運んでいた。

ファイナル・セット、2-5、ゴファンのサーブでは0-40とマッチポイントを握られるが、挽回キープ。
ディミトロフのサーブ、5-3では40-15とマッチポイント。
40-30、5回目のマッチポイント。ネットぎわのイージー・ボレーをゴファンがミスしていなければ勝負の展開はどうなるかわからないぐらい競っていた。

$8,000,000 ATPファイナル
<<決勝>>
〇ディミトロフ 75 46 63 ●ゴファン

<<準決勝>>
〇ディミトロフ 46 60 63 ●J・ソック(アメリカ)
〇ゴファン 26 63 64 ●フェデラー
結果
ドロー

ラウンドロビン結果
【ピート サンプラス】グループ
1)R・ナダル 棄権 0勝1敗
4)D・ティーム 1勝2敗
6)G・ディミトロフ 3勝0敗
7)D・ゴファン 2勝1敗
補)P・カレノ=ブスタ 0勝2敗 ナダルの棄権により急遽参戦

【ボリス ベッカー】グループ
2)R・フェデラー 3勝0敗
3)A・ズベレフ 1勝2敗
5)M・チリッチ 0勝3敗
8)J・ソック 2勝1敗

記事&写真 塚越亘/CanonEos7D

無敗で優勝したディミトロフ、大健闘のゴファン