nishikori_120701_01.jpgロンドン郊外で開催中のウィンブルドン選手権は30日に男女3回戦を行い、錦織圭は、第9シードのファンマルティン・デルポトロに3-6、6-7、1-6で敗れた。


※写真は錦織圭、クリックで拡大
「彼にとって、芝は一番苦手なサーフェスだと思う。勝てるチャンスは少なからずあると思う」
デルポトロのとの対戦を控えそう抱負を口にしていた錦織だが、その希望は、ナンバー1コートを吹き抜ける強風にさらわれていった。ただでさえ腹筋のケガの影響で、この2カ月間まともに練習ができなかったのがサーブだ。その最大の不安材料が、強風によりさらに不安定なものになる。トスが流され、ファーストサーブの確率が上がらない。条件は両者とも同じとは言え、もとから不安を抱えていた分、錦織の心技に与えたダメージは大きかったろう。「ファーストが入らず、セカンド(サーブ)だけで勝負をしているような感じだった」という苦しい状況は、プレー全体に波紋を広げた。
対するデルポトロは、本人も「今大会一番の試合だった」という会心のプレー。最初のサービスゲームで立て続けに200キロ前後のサーブを叩きこみ、つづくゲームでは深いストロークを錦織の足元に打ち込んでいく。立ち上がりで3ゲーム連続したデルポトロは、以降も安定したサーブを武器に試合の主導権を握っていった。
錦織に大きなチャンスがあったのが、第2セット。このセットでも先に相手にブレークを許すが、第8ゲームでは、ロブやバックのパッシングショットで鮮やかにウィナーを奪いブレークバック。追い上げムードでタイブレークに持ち込むことに成功した。
タイブレークでも、先行したのは錦織だった。だが中盤、デルポトロのバックのクロスがネットの白帯に掛かり、錦織サイドにスルリと落ちる不運があった。最後はサーブ力に勝るデルポトロがタイブレークも取り、2セット先取。
第3セットは、立ち上がりこそ錦織が攻めたが、ここを凌がれると、あとはデルポトロが加速し勝利を奪っていった。
「良いプレーもあったが、全体的にサーブが入らず安定感がなかった。それで、こういうスコアで負けることになったと思います」
試合直後は、敗戦の悔しさとショックを隠し切れない表情の錦織。だが最後は「復帰戦ということを考えれば、しっかり2回勝ったのは次につながると思う」と、次の戦いに気持ちを向けた。