サラ・エラニ(テニス)

サラ・エラニ(テニス)有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートで開催中の東レPPOテニスは、27日にシングルス準々決勝4試合と、ダブルス準々決勝3試合が行われた。

第3シードのアグニエシュカ・ラドワンスカは、第10シードのキャロライン・ウォズニアッキを破り順当にベスト4に進んだが、第1シードのビクトリア・アザレンカは体調不良で棄権。第2シードのマリア・シャラポワと、第6シードのサラ・エラニがいずれもランキング下位の選手に敗れるという、波乱含みの1日となった。

今シーズン大躍進を果たした世界7位のエラニが、思わぬ伏兵に足をすくわれた。ナディア・ペトロワとは今年の全豪オープン以来の対戦だが、そのときは簡単に勝利を収めている。アスリートとしての能力は極めて高いペトロワだが、揺さぶられると精神面から崩れる傾向にある。今回の対戦でも、第1セットはエラニがスピンを効かせたストロークを左右に打ち分け、相手のミスを誘うことに成功した。

第2セットに入っても、試合の流れは変わらない。エラニが先にブレークし、4-1とリードを広げた。だがここから、セカンドサーブを激しく叩き、ネットに果敢に出てくる相手の積極性に押されだす。「私のプレーは変わらなかったが、ナディアがどんどん良くなってきた」。164センチの身体と頭脳をフルに使って奮闘したが、最後は弱点のサーブを狙われ力尽きた。

前日の3回戦で、試合中に目眩に襲われながらも勝ったアザレンカ。だがその一戦で、身体に残ったエネルギーを、最後の一滴まで絞りきってしまったようだ。この日はコートに立つことなく、試合開始前に棄権を発表。

「理由はわからないが、どうしてもエネルギーが湧いてこない。目眩がし、何にも集中できない」

体調不良を感じたのは、大会が始まる前からだった。東レPPOテニスは「東京は大好きな街だし、とても楽しみにしていた大会」だと言うが、世界1位としての初優勝は成らなかった。

トップシード選手の敗退が相次ぐ波乱の大会5日目にあって、盤石の安定感を見せたのが、昨年優勝者のラドワンスカである。親友であり、先週の韓国大会も優勝し勢いにのるウォズニアッキを、ストレートで退ける。「キャロラインと対戦するときは、いつも走り回らなくてはいけないと分かっていた。スコアは接戦の内容を反映していないだけ」と言うが、そのように熱戦に備えるメンタリティこそが、難敵に勝ちきれる要因だろう。

明日の準決勝では、アザレンカの棄権により1日休養のアンゲリク・ケルバーとの対戦となるが、「起きたことはどうしようもない。私は体力の回復につとめるだけ」と手綱を締めた。 

※写真は、今シーズン大躍進したサラ・エラニ。今大会も優勝候補の一人だったが、ベスト8止まり
photo by 佐藤ひろし

東レPPOテニス

シングルス
準々決勝

ナディア・ペトロワ(ロシア)[17] 3-6 7-5 6-3 ●サラ・エラニ(イタリア)[6]

サマンサ・ストーサー(オーストラリア)[8] 6-4 7-6(10) ●マリア・シャラポワ(ロシア)[2]

アンゲリク・ケルバー(ドイツ)[5] wo ●ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)[1]

アグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)[3] 6-3 6-4 ●キャロライン・ウォズニアッキ(オランダ)[10]