有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートで開催中の東レPPOテニスは、27日にシングルス準々決勝が行われ、第8シードのサマンサ・ストーサーが、第2シードのマリア・シャラポワを6-4、7-6(10)で破り、自身初の同大会ベスト4に駒を進めた。
昨年の全米オープン優勝者(ストーサー)対、今年の全仏優勝者(シャラポワ)という豪華な顔合わせを制したのは、過去の対戦で大きく負け越している、ストーサーの方だった。これまでの対戦成績は、シャラポワが10勝1敗と大きくリード。だが、ストーサーがシングルスプレーヤーとして“覚醒”する以前の成績は、大した意味を持たないだろう。
直近の2回の対戦は1勝1敗。今年5月の対戦では、ストーサーが敗れたものの大接戦だった。「一昨年の勝った試合は良い内容だったし、敗れたシュツットガルトも負けたのが不思議なくらいの内容だった」というストーサー。その自信と手応えが「今回も特に何かを変える必要はない。サーブをしっかり入れ、一つひとつのポイントに集中していく」と、戦術を明確にさせていた。
第1セットを取って迎えた第2セットでは、ゲームカウント5-3とリードしながらも、シャラポワに9ポイントを連続で奪われる。だがその時も「自分の悪いポイントが2つ、相手の素晴らしいポイントが2つあっただけ」と、気持ちに乱れは無かった。
プレー中「9ポイント連続で落としたと数えていた」という行為も、冷静さの表れだろう。タイブレークでは4つのマッチポイントをしのがれ、相手に1つのセットポイントを握られる、胃の痛むような神経戦。
かつてはメンタルの弱さを露呈することも多かったが、気持ちを切らさず戦いぬき5度目の正直で掴んだ勝利。「グランドスラム優勝などの経験が助けになっている」と、経験豊富な28歳は胸を張る。
一方の敗れたシャラポワにしても、必ずしも良い調子とは言えないながら、持ち前の精神力と今季大きく向上したフィジカルを発揮し、最後の最後まで相手に食らいついた。試合時間は1時間53分。試合を通じてのトータルポイント数は75対75と互角。なぜ彼女が今季世界1位に返り咲けたか、その理由をコート上で証明した。
「今はとても残念だけれど、下を向いているヒマはない。数日しっかり練習して、次の北京大会に挑む」
敗者はそう顔を上げ、勝者のストーサーは「(次の相手の)ナディア(ペトロワ)とはいつも接戦になる。彼女はここの速いコートは好きなはず。明日もしっかりサーブを入れなくては」と、早くも気持ちを切り替える。
良いライバル関係を築きつつある両者は、いずれも次の目標に向け歩み始めている。
※写真は、東レPPOテニスのシングルス準々決勝で、サマンサ・ストーサーに敗れたマリア・シャラポワ
photo by 佐藤ひろし
東レPPOテニス
シングルス
準々決勝
○サマンサ・ストーサー(オーストラリア)[8] 6-4 7-6(10) ●マリア・シャラポワ(ロシア)[2]
[ ]内の数字はシード順位