大西賢パリ郊外のローランギャロスで開催中の、全仏オープン。同会場で4日に男女のジュニア2回戦が行われ、日本の大西賢は、第13シードのギレルモ・ヌネス(チリ)に3-6、4-6で敗れ3回戦進出は成らなかった。

悔しさの残る敗戦だった。この日対戦したチリ選手は、クレー巧者のサウスポー。スピンを掛けたフォアは力強く、ドロップショットなどの意外性あるプレーも得意とする。第1セットは、その重いフォアに押し込まれ、ストローク戦で打ち負けた。

第2セットに入ると大西も、ドロップショットやスライスを織り交ぜ、相手を前後左右に走らせ流れを引き寄せる。先にブレークにも成功し、3-1とリードを奪った。だが次のゲームでブレークされると、第6ゲームでは2つのブレークポイントを握りながらも物にできない。

「大事な場面で踏み込んで攻められず、相手に主導権を渡してしまった……」
敗れた相手はシード選手だが、大西は悔しさを隠さなかった。

彼にはこの試合、どうしても負けたくない幾つかの理由があった。
一つは、先週ベルギーで行われたITFジュニア大会でベスト4まで進出し、クレーへの自信を深めていたこと。「どうすればクレーで勝てるか分かってきた」と、赤土で戦うコツを体得しつつあったのだ。

2つ目の理由は、この日敗れたヌネスが、自分とほとんど同じ身長だったこと。「同じくらいの身長の相手に負けるのは、やはり悔しい」と、ライバル心をあらわにした。

3つ目は、もしこの試合に勝てていれば、第1シードのキルギオスと対戦する可能性が高かったから。結果的にキルギオスも2回戦で敗れたが、上位選手と戦い、自分の力を測りたいという気持ちが強かった。
 
それでも、6週間にも及ぶ欧州遠征を通じ、多くの日本人が苦手意識を抱く赤土で手応えを得たのは、大きな財産だ。

「クレーはミスを少なくすれば、球足が遅くなる分、背が低くてもチャンスがある。クレーは、自分のスタイルに合っていると思う」
この強いメンタルと向上心があれば、さらなる成長が期待できる。

写真は、全仏オープンジュニア2回戦でボールを追いかける大西賢
Photo by Hiroshi sato

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