男子テニスの国別対抗戦『デビスカップ2025』のファイナル予選1回戦『日本対英国』が、1月31日にブルボンビーンズドーム(兵庫県三木市)で初日を迎えた。日本にとっては3年ぶりとなるファイナル予選で、約2500人の観客が詰めかける中で行われたシングルス2試合の結果は1勝1敗。第1試合で西岡良仁(ミキハウス)が世界ランク129位のビリー・ハリスにストレート勝ちしたが、錦織圭(ユニクロ)はそれに続けず、77位のジェーコブ・ファーンリーにストレートで敗れた。
○西岡良仁(ミキハウス)7-5 6-1●ビリー・ハリス
今年になって錦織がランキングをトップ100に戻し、さらに70位まで上げてきているが、それをわずかに上回る67位の西岡良仁が今回の日本の1番手だ。自分がどんな立場で相手がどのような選手でも、第1試合というのは特別な緊張感がある。しかし西岡は2023年の対ポーランド戦、昨年の対レバノン戦、コロンビア戦と、この2年間に出場したデ杯では毎回その重責を担い、全てで勝利を挙げてきた。その経験値と、2019年にマドリードでのファイナルに出場したときの記憶、「もう一度あのファイナルに戻りたい」というモチベーションが、西岡自身を盛り立てる。
相手は世界ランク129位のビリー・ハリス。29歳の西岡と1歳違いの30歳だが、ジュニア時代や下部ツアーも含めて対戦歴はない。第1セットはロングラリーも多く、拮抗した。2つのダブルフォールトで第3ゲームをブレークされ、第4ゲームで2度のブレークバックのチャンスを生かせない。相手を勢いづかせたくないところで、第5ゲームを0-40から5ポイント連取でキープし、続く第6ゲームでのブレークバックにつなげた。
「出だしは緊張感があって、タイトなところもありましたけど、自信を持ってプレーできる時間帯が多かった」
その後、5-5でのサービスゲームで15-40のピンチも冷静にしのぎ、続く第12ゲームでラブゲームでブレークしてセットを先取した。
第2セットは完全に西岡がペースを握り、193cmのハリスのサーブに対してリターンで積極的にプレッシャーをかけていく。5-0と一気にリードを広げ、6-1で試合を締めくくり、今回も大きな仕事を果たした。
●錦織圭(ユニクロ)3-6 3-6 ○ジェーコブ・ファーンリー
イギリスは国内ナンバーワンのジャック・ドレーパー(16位)と、2番手で元トップ10のキャメロン・ノリー(63位)が出場せず、今回のエースは今が自己最高の77位に上がってきているジェーコブ・ファーンリー。先の全豪オープンでは3回戦に駒を進めた23歳だ。しかし、昨年11月に錦織が優勝したヘルシンキのチャレンジャーの準々決勝で、錦織がストレートで勝っている。
デビスカップは初出場のファーンリーだが、「緊張はしたが、不思議なことにコートに出たらリラックスした。チームや監督のおかげ」と高速サーブを武器に、アグレッシブなプレーを仕掛けてきた。ヘルシンキでは9本のダブルフォルトをおかしたファーンリーだが、この日はゼロ。ビーンズドームにサービスのスピード表示がないために正確な速度はわからないが、本人いわく最高時で時速210キロほどだとサーブで、計12本のエースを記録。第1セットのセカンドサーブでのポイント獲得率88%という数字も際立つ。
一方の錦織は「今日は自分のサーブがかなり悪かった。リズムがなかなか作れず、相手を楽にプレーさせてしまった。作戦を変えたりできれば良かったけど、それをする間もなく負けちゃった感じ」と振り返った。第1セット、第3ゲームで先にブレークを許し、直後の第4ゲームでトリプルブレークポイントを握ったが、あと1ポイントが遠い。次のチャンスはないまま、第9ゲームで2度目のブレークを喫した。
第2セットは第3ゲームでようやくブレークに成功し、いよいよ反撃かと思いきや、すぐにブレークバックを許し、第6ゲームで再びのサービスダウン。
サーブについては「今週、日にもよるけれど最高ではなかったので、不安がそのまま出てしまった。タイミングやフォームを気にしすぎてフォームがバラバラになった感じ」と明かしたが、ここからの修正力に期待したい。
2試合を終え、「もう終わったことなので、明日に向けて切り替えていく」と添田豪監督。対するイギリスのレオン・スミス監督は「1勝1敗で終えることができたのは喜ばしい」と語った。両監督の受け止め方は明日の戦いにどう反映されるだろうか。
勝敗が試合が決まる2月1日(土)の試合は、12:00よりダブルス1試合・シングルス2試合の順に行われる、
・第3試合 綿貫陽介/柚木武 - ジョー・ソールズベリー/ニール・スクプスキ
・第4試合 西岡良仁 - ジェーコブ・ファーンリー
・第5試合 錦織圭 - ビリー・ハリス
※選手のノミネーション、試合数ならびに試合形式が変更となる可能性あり
試合の様子はU-NEXTでライブ配信
https://www.unext.co.jp/press-room/davis-cup-live-2025-01-20
取材:山口奈緒美 写真:塚越亘/CanonEOS90D