『大正製薬 リポビタン 第47回全国選抜高校テニス大会』の団体戦が博多の森テニス競技場で開催され、3月25日(火)は男女決勝が行われた。

第1シードの湘南工科大附(神奈川)は、序盤の佐土原(宮崎)戦でシングルス3に勝負がゆだねられる接戦となったが、それを3-2で乗り越えると、それ以降は危なげなく決勝へ駒を進めた。

対戦相手は2016年以来の決勝進出となる柳川(福岡)。柳川は準々決勝で昨年5連覇を達成した相生学院(兵庫)から勝利を挙げている。決勝では相生戦と同じオーダーで臨んだ。ナンバー1の内田真翔をダブルス2で起用してダブルス2本を取りに行き、シングルス3本のうちどれかで勝利を挙げる作戦だ。

湘南工科の瀬野圭紀監督は、相手のオーダーを予想しつつも、「相手がどうであれ、固定のオーダーで戦おうと決めました」と、シングルス1、2、3をそのまま起用している。彼ら3名は海外のITFジュニアにも参戦しており、自信を持って送り出した。

決勝戦は3面進行で行われ、S1、D1、S2からスタートする。湘南工科のS1川西飛生は1年生ながらエースの風格を見せて最初に勝利を挙げた。D1は柳川の石川橙弥/鵜狩良仁組に敗れて1-1のタイに。

湘南工科S2松村怜

S2が接戦を繰り広げる中、D2とS3が始まった。湘南工科のS2でキャプテンの松村怜は、第1セットを取るも相手が乗ってきたところを止められず第2セットを落とす。しかし、「昨日もそういう場面でしっかり勝ち切れた」という自信があった。

ファイナルセットの1ゲーム目。自分のサービスゲームで「40ー0から相手が乗って来て、自分が耐えて耐えてのシーソーゲームになりました。これを守り切れたことが大きかったと思います」と、その後は1ゲームも許さず6-0で大きな勝利を手に入れ、優勝へ王手をかけた。

D2は柳川の内田真翔/床田隼都組に敗れて2-2。勝敗はS3に委ねられた。湘南工科のS3名雪楽工は緊張のため序盤は自分の思い通りのプレーができなかったが、「いつもなら緊張するとどんどん固くなっていましたが、途中から落ち着いて自分のプレーに戻していくことができました」。成長した姿を見せてストレートで勝利。湘南工科の6度目の優勝が決まった。

瀬戸監督は、「接戦でしたが、勝ち切ってくれてよかったです。S1で1年生が出て、そこで最初に1本取ってくれるのは心強かったです。それを2年生が支えながら、最後頑張って維持を見せてくれました」と選手を称えた。

キャプテンの松村は「素直にうれしい。あとちょっと安心したという気持ちです。負けられないとい気持ちがあったので」と、良いメンバーが揃っていただけに、しっかりと結果を出せたことに喜びつつも安堵した。プレッシャーがかかる中、実力を出し切った第1シードの見事な優勝となった。

敗れた柳川の本田健児監督は、「ダブルスを2本取って、シングルスで1本という流れにはなりましたが、(湘南工科の)シングルス3本が固かったですね」と試合を振り返った。

2016年以来の決勝に進出できた点については、「3年前ぐらいから片山(翔)や本村(剛一)など卒業生が外部コーチとして入ってくれています。彼らの影響を受けながら自分の力を蓄えていってくれています」。プロを多く輩出している伝統校ならではの強みを生かしての上位進出だったようだ。

【3月25日(火)の試合結果】
■男子団体戦 決勝
湘南工科大附 3-2 柳川
S1 ◯川西飛生 6-1 6-4 ●高村颯
D1 ●篠原聖和/相馬颯 4-6 0-6 〇石川橙弥/鵜狩良仁
S2 ◯松村怜 6-3 3-6 6-0 ●宮地柊磨
D2 ●小川楓成/松永晴瑠 2-6 1-6 〇内田真翔/床田都
S3 〇名雪楽工 6-4 6-3 ●イ ウンチャン

3月26日(水)の試合予定
9:00〜
男女個人戦準決勝
川西飛生(湘南工科大附) vs 富澤直人(代々木)
義基耀(四日市工)vs 内田真翔(柳川)
後藤七心(大商学園 )vs 早坂来麗愛(仙台育英)
石田実莉(神戸野田) vs 川崎このは(野田学園)

終了後、センターコートで男女ファイナル

取材・写真/赤松恵珠子