
『大正製薬 リポビタン 第47回全国選抜高校テニス大会』の団体戦が博多の森テニス競技場で開催され、3月25日(火)に男女決勝が行われた。
女子決勝は、第1シードの野田学園と第2シードの大商学園の対戦となり、昨年準優勝の大商学園が初優勝を果たした。


決勝戦は3面進行で行われ、S1、D1、S2が同時に入った。最初に勝ち星を挙げたのは野田学園のS2上方璃咲。次に大商学園のD1荒川愛子/藤井小夏が勝利。フルセットにもつれたエース対決は野田学園の川崎このはに軍配が上がった。この段階で大商学園は1勝2敗で、もう負けは許されない状態だ。
ピンチに見えるが、ダブルスで勝利した大商学園の荒川愛子は、「最初の3本のうち、どこかで勝って後ろにつなげられたら、D2とS3は固いので、絶対に取れると思っていました」と、想定内の流れだった様子。


皆の期待を背負ったD2の松田楓華/寺井瑞希が見事に勝利して2-2のタイに持ち込む。残るは「自分で決めてやる」という気持ちで入ったS3の窪田結衣。第1セットを取るも、第2セットは2-5とリードを許してしまう。しかし、「目の前の1球に集中して1ポイントずつ積み重ねていきました」と挽回に成功。初優勝を果たした。
「この1年、優勝するために皆でやってきたので、めちゃくちゃうれしいです。プレッシャーがかかった場面でも打ち切れるような練習を皆でやってきました」とキャプテンの荒川。まさに練習の成果が表れた逆転優勝となった。


初優勝にメンバーの多くが泣いて喜んだが、その中でも優勝の瞬間に涙を見せたのは吉田有宇哉監督だ。実は今月末でチームを去り母校で指導することが決まっているため、大商学園で戦う最後の試合だった。
「感謝の気持ちでいっぱいです。去年準優勝で(優勝が)簡単ではないとわかっていたので、優勝できてうれしいです」と感無量の吉田監督。初優勝を果たせた要因を「部員全員が学校で練習し、日常生活もすべて同じ時間を共有してチームワークを高めてきたのが一番の特徴です。競った場面でいかに気持ちをブラさずに、前を向いて明るくできるかということを1年間取り組んできました。最後にそれが出せました」と、チーム一丸となって勝ち取った勝利を喜んだ。
大商学園の女子チームは2016年に創部し、その時の監督である笹井伸郎氏は、「こんな日が訪れるとは思っていませんでした」と感慨深げに語る。4年前に吉田現監督が「一緒にやりたい」とチームに加わり、昨年の今大会の個人戦で優勝した全国トップレベルの千葉陽葵が3年前に入学。千葉は卒業したが、彼女に引っ張られるように部員が成長した。そして、吉田監督のラストマッチである。
「すべてのピースがうまく揃いました」と言う笹井氏は、「技術的なものはまだ日本一だとは思いませんが、一番自信があるのは信頼関係。それが優勝に導いてくれました」と誇らしげに語る。それを象徴するように、優勝後にはメンバーだけでなくチーム全員の胴上げが何度も何度も行われていた。


【3月25日(火)の試合結果】
■女子団体戦 決勝
大商学園 3-2 野田学園
S1 ●後藤七心 6-1 2-6 3-6 ◯川崎このは
D1 ◯荒川愛子/藤井小夏 7-5 6-2 ●阿部千春/櫻井利真
S2 ●上田結生 2-6 2-6 〇上方璃咲
D2 ◯松田楓華/寺井瑞希 7-6(5) 6-1 ●美山くらら/石橋空
S3 ◯窪田結衣 6-3 7-5 ●原田萌衣
3月26日(水)の試合予定
9:00〜
男女個人戦準決勝
川西飛生(湘南工科大附) vs 富澤直人(代々木)
義基耀(四日市工)vs 内田真翔(柳川)
後藤七心(大商学園)vs 早坂来麗愛(仙台育英)
石田実莉(神戸野田) vs 川崎このは(野田学園)
終了後、センターコートで男女ファイナル
取材・写真/赤松恵珠子