
『大正製薬 リポビタン 第48回全国選抜高校テニス大会』が博多の森テニス競技場で開催。3月25日(水)は団体戦決勝が行われ、男子は関西高校(岡山)が四日市工(三重)を破り、悲願の全国初優勝を成し遂げた。
関西高校優勝までの道のりは、地道な努力と精神的成長、そして「チーム全員で強くなる」という思いが結実したものとなった。
突出したスター選手不在のなかで、S1の稗田光が「最弱と言われた」と自嘲気味に語るこの世代に対し、前崎直哉監督は派手さではなく「全員でコツコツと積み重ねること」の大切さを説き続けた。選手たちはその言葉を胸に、ウェイトトレーニングや持久力の強化、実戦形式の専門メニューを徹底してこなし、泥臭く「戦える身体」を作り上げてきた。この1年間のフィジカル強化と、ITFジュニアなどの外部大会を含む豊富な実戦経験が、選手たちに「全員がエースになれる」という考えを根付かせたといえる。


迎えた決勝戦は、決して楽な展開ではなかった。S1を落とし、監督自身も一時は敗北を予感するほどの逆境に立たされたが、ここでチームの真価が発揮される。精神的支柱である稗田らが中心となり、従来の「劣勢で静かになる」悪癖を排除して明るく活気ある雰囲気を維持し、会場の空気を味方につけた。
特に象徴的だったのは、S2に起用された1年生の三好碧生の戦いだった。試合途中に足が攣り、絶体絶命の状況下で、監督の「今日はもうスーパー三好くんで行こう!」という開き直りを促す言葉と仲間の応援が力に変わった。三好は「攣って終わるならしょうがない」という境地で長いラリーを避けて自ら攻撃。1ポイントずつ重ねた末のこの1勝が、チームに決定的な勢いを与えた。

最終的にD2が勝利を決めたこの初優勝は、特定の個人に頼らず、適材適所の選手起用と、土壇場で「弱い心」を克服した選手たちの人間的成長が生んだ結果といえる。


D1の弘風音は、大事な場面で引いてしまうところがあり、大会約10日前には「自分はダメかもしれない」と話すほどの状態だったという。それでも前崎監督は「ここで戦うためにやってきた」と声をかけ、少しずつでも前を向かせた。
「飛び抜けた選手がいないからこそ、みんなで頑張らないといけないと言い続けていた。自分としてはもっと前の段階で優勝を狙っていたのですが、このメンバーで達成できたのは”そういうことなんだな”と。コツコツ積み重ねるのことの大切さを改めて子どもたちから教わった」

前崎監督が関西高校に赴任してから7年、強い選手を揃えるだけで勝てるほど、甘くない。かといって、精神論としての諦めない心や、過酷な練習による体力だけで頂点に立てるわけでもないことを痛感してきた。
「みんなで頑張る」
この、言葉にするのは簡単だが、実践するのは極めて困難な問いに対し、関西高校は「全国初制覇」という唯一無二の正解を提示した。

【3月25日(水)団体戦試合結果】
■男子団体戦 決勝
関西(岡山) 3 - 1 四日市工業(三重)
S1 ●稗田光 3-6 6-2 2-6 ○小野倫太郎
D1 ○中川琉成/弘風音 7-5 6-3 ●大越楓真/大西寛太郎
S2 ○三好碧生 3-6 7-5 6-4 ●片岡龍亮
D2 ○住田涼成/丸山楓湊 6-3 6-2 ●近藤真弘/永井伶
S3 金子颯良 4-3 打切 義基燿


【3月26日(木)の試合予定】
9:00〜
男女個人戦準決勝(8ゲームプロセット)、決勝(ベストオブ3タイブレークセット)
■男子SF
稗田光(関西高校)VS 櫻井義浩(湘南工大附)
鈴木志翔(名経大市邨)VS 小野倫太郎(四日市工)
■女子SF
北岡美空(相生学院)VS 伊東来春(沖縄尚学)
島田菜帆(野田学園)VS 窪田結衣(大商学園)
※終了後、試合が先に終わった対戦からファイナルを開催
取材・写真/保坂明美


