ロンドン郊外で開催中のウィンブルドン選手権は30日に男女3回戦が行われ、女子前年優勝者のペトラ・クビトバや、第2シードのビクトリア・アザレンカらがそれぞれ快勝して、4回戦へと進出。セリーナ・ウィリアムズは鄭潔(チェン・ジー)相手に苦戦を強いられるも、6-7、6-2、9-7で辛くも競り勝った。
※写真は、鄭潔相手に苦戦するも4回戦進出を決めたセリーナ・ウィリアムズ、クリックで拡大
また、全仏ベスト8進出者のヤロスラワ・シュベドワが、1ポイントも失わずにセットを取るという“ゴールデン・セット”を達成。女子では、史上初(1968年のオープン化以降)の大記録の樹立となった。
昨年の女王が、いよいよペースを上げてきた。初戦では相手に先行される危ない場面もあったが、2回戦では反省点を修正して快勝する。そして今日の3回戦でも、バーバラ・レプチェンコを6-1、6-0で圧倒。試合時間1時間にも満たないスピード勝利で、4回戦へと走り抜けた。
前哨戦で初戦敗退していたクビトバは、「ウィンブルドンに来たときは、芝に適応できているかどうか不安だった」というが、「試合を重ねるごとにプレーがよくなっている。芝では、特にウィンブルドンでは良いプレーができる」と、自信を取り戻した様子だ。
無自覚こそが、大記録を築いた鍵だったかもしれない。シュベドワがこの日対戦した相手は、先の全仏オープン準優勝者のサラ・エラーニ。「1本ずつ集中して挑んでいた」というのも、当然だろう。
第1セットを6-0でシュベドワが奪い、そして第2セット最初のポイントをエラーニが取ったとき、スタジアムの客席から一斉に大きな拍手が沸き起こった。そのときシュベドワは「そうか。観客はいい試合が見たいのだな」と、単に思っただけだったという。その観客の期待に応じた訳ではないだろうが、第2セットは接戦の展開に。42分を要した攻防のすえ、シュベドワが6-4で取った。
シュべドワが記録達成を知らされたのは、試合が終わってクールダウンのため、ジムに戻ったときだったという。だがそれでも「何かの間違いだろう」と信じてはいなかった。ようやく確信が持てたのは、きれいに24ポイントが連なった、公式記録のスコアカードを見たときである。
「大会が、何か表彰してくれるかって? どうかした……そんなに大きなことではないと思うし」
大記録についてもそう控え目に語るシュベドワだが、昨年はケガに苦しみ、一時はランキングを200位代にまで落とした苦労人。そこからITF大会を回って這い上がり、今年の全仏では李娜らを破ってベスト8進出の大躍進を成し遂げた。そしてワイルドカードを得た今大会で、全仏準優勝者相手にこの快挙。シンデレラ・ストーリーのまっただ中にいる24歳は、さらなる物語のつづきを描くべく、4回戦でセリーナ・ウィリアムズに挑む。