ロンドン郊外で開催中のウィンブルドン選手権で7月2日に男子4回戦が行われ、男子第1シードのノバク・ジョコビッチが、ビクトル・トロイツキを6-3、6-1、6-3で破って準々決勝へと駒を進めた。また第3シードのロジャー・フェデラーも、ザビエル・マリッセを7-6、6-1、4-6、6-3で破り、グランドスラム33大会連続となるベスト8進出を決めた。


ジョコビッチがこの日ネットを挟み対峙したのは、公私に渡りよく知るセルビアの同胞。しかも2人はダブルスパートナーでもあり、来たるロンドン五輪にもペアを組んで出場する予定である。
「仲のいい友人と試合をするのは、喜んだり、あるいは怒ったりなどの感情表現が難しくなる。僕らが初めて試合をしたのは僕が8歳、彼が9歳のとき。本当に古いつきあいなんだ」
ジョコビッチ自身も、長年の知己と戦う難しさをそう語るが、「僕らはプロフェッショナル。最終的には、ネットの向こうに誰がいようと関係ない」と、いったんコートに立てばそこに私情は持ち込まない。第1セットこそ「相手はサーブがいいので、リズムをつかむまで時間を要した」というが、第2セット以降はサーブやストロークの精度など、あらゆる面でジョコビッチが相手を圧倒。1時間31分の快勝で、連覇に向け力強く大会2週目のスタートを切った。
2日前の3回戦では、2セットダウンから逆転する劇的な勝利を収めたフェデラー。だがその疲労が、今年で31歳を迎える“史上最高の選手”の肉体にダメージとして蓄積されただろうか。第1セットの第8ゲーム終了時、フェデラーがメディカルタイムアウトを取り、いったんロッカールームに引き上げる“珍事”が起きた。その前後からフェデラーの動きは明らかに精彩を欠き、第11ゲームでは相手にブレークも許してしまう。だが続くゲームを取り返すと、タイブレークの末に第1セットを先取した。
そしてその直後、雨天のため試合が約44分間中断になったのが、フェデラーにとっては文字通り恵みの雨となる。休息を取り動きのよくなったフェデラーは、再開後の第2セットを6-1で奪取。第3セットは落としたものの、結果としては試合時間2時間11分で、キャリア通算850勝目を勝ち取った。
「第1セットの序盤で、背中に痛みを感じた。恐らく、2日前の5セットマッチと、今日の低い気温により引き起こされたものだろう」
試合後にフェデラーは、メディカルタイムアウトの理由をそう明かした。当然、今後の試合への影響が懸念されるところだが、本人は「あまり深く心配はしていない」という。
「過去にも背中の痛みはあったが、いつも突然訪れて、すぐに去っていく。今回も二日間しっかり寝て休めば、水曜日の試合までには100%に回復しているだろう」
そう希望的観測を語るフェデラーが水曜日に対戦するのは、同じく30歳のミハイル・ユーズニー。「僕達は黄金世代。ジュニア時代に対戦していた選手の多くが、今もツアーにいるんだから」というフェデラーは、「30歳を超えている選手が、自分以外にもいて嬉しいよ」と、ベスト4をかけての同期対決を今から心待ちにしているようすだ。
そのほかでは、本日は男子4回戦の8試合すべてが行われる予定だったが、雨の影響で消化できず、最後まで終えられたのは3試合のみ。7-5、3-1とリードしたところで中断されたアンディ・マリーマリン・チリッチ戦を含め、未消化の5試合はすべて翌日に持ち越された。