アグニエシュカ・ラドワンスカ(テニス)

アグニエシュカ・ラドワンスカ(テニス)有明テニスコロシアム及び有明テニスの森公園コートで開催中の東レPPOテニスは、28日にシングルス準決勝2試合が行われ、第3シードのアグニエシュカ・ラドワンスカと、第17シードのナディア・ペトロワがそれぞれ決勝に進出した。

世界3位のラドワンスカが、連覇に向け視界良好だ。この日対戦した準決勝の相手は、今季急成長を見せているアンゲリク・ケルバー。ミスが少なく攻守のバランスが良いうえに、サウスポーという特殊な武器も持っている。しかもケルバーは、準々決勝を相手の棄権で戦わずして勝ち上がっている。前日に厳しい準々決勝を戦ったラドワンスカにしてみれば、やや不利な状況だったはずだ。

だがラドワンスカは、鋭いカウンターと安定した守備を軸に、ドロップショットやロブで相手を翻弄する。「攻撃的に行くのが私のプランだったが、少しずつミスが出た」とケルバーは振り返るが、そのミスを引き出したのは、ラドワンスカの老獪なプレーである。

1年前に東京に来たときのランキングは13位だったが、昨年の今大会優勝を皮切りに、彼女の快進撃は始まった。明日の決勝では、この1年で成長した姿と熟練の技を、日本のファンに見せてくれるはずだ。

そのラドワンスカと決勝で対戦するのは、世界18位で30歳のペトロワ。全仏準優勝者のサラ・エラニに続き、準決勝では昨年の全米女王のサマンサ・ストーサーをストレートで撃破するなど、その勢いは止まらない。この日も最速で時速189キロを記録したサーブ、そして長身から繰り出すフォアの強打で、世界9位をねじ伏せた。

アスリートの両親を持つペトロワは、そもそも才能に恵まれた選手である。6年前には最高位3位を記録。ダブルスでも好成績を残すなど、総合力の高さも折り紙つきだ。だが精神面の脆さを露呈することも多く、大きなタイトルには縁遠かった。

それでも今年は新たなコーチをつけ、さらなるテニスの向上を目指している。「例えキャリアの終盤に差し掛かっても、日々上達したいと思っているしモチベーションは高い」という姿勢が、今回の快進撃の背景にある。背中に痛みを抱えていたため「決勝まで来るとは予想できなかった」という無欲さも、リラックスして戦えている要因かもしれない。

その無欲なペトロワも、ここまで来たら当然優勝を狙っている。「アグニエシュカは、とても頭が良く色んなショットを打てる選手」と相手に敬意を評しながらも、「彼女はパワーヒッターを苦手にしているところがある。私はラリーを支配し、チャンスが来たらウィナーを奪いに行く」と、持ち前の攻撃力で相手の技術を封じる目論見だ。

※写真は、準決勝でアンゲリク・ケルバーを下し、決勝に進出したアグニエシュカ・ラドワンスカ
photo by Hiroshi sato

東レPPOテニス

シングルス
準決勝

ナディア・ペトロワ(ロシア)[17] 6-4 6-2 ●サマンサ・ストーサー(オーストラリア)[8]

アグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)[3] 6-1 6-1 ●アンゲリク・ケルバー(ドイツ)[5]