10月27日(金) 三菱 全日本テニス選手権

男子準々決勝では優勝を狙って出場の2013年チャンピオンの伊藤竜馬(北日本物産)が2014年チャンピオン江原弘泰(日清紡HD)に敗れた。
29歳、伊藤の最高ATPランキングは60位、グランドスラム大会本戦出場回数は11回、その内3回は2回戦に進出している。
26歳、江原の最高ATPランキングは330位だ。

勝負はわからない、それだけ全日本と言う舞台は日本人プレーヤーにとって特別、プレッシャーがかかる舞台なのだろう。

伊藤竜馬「自分自身への挑戦」と戦ったが

「出場はエントリー締め切りの1時間前に決めた」と明かす伊藤竜馬。
昨年7月に右ひじを手術、落ちてしまったランキングを上げるために、チャレンジャー大会に出場するべきか、と悩んでいたと言う。

楽天ジャパンオープンでは予選1回戦でATPランキング95位、若手期待のシチパス(ギリシャ)と大接戦をした。
敗れてしまったが、その時受けた観客からの熱い応援を受けた。その応援は有明での全日本出場を決めた要因にもなっているのだろう。
伊藤は「自分自身への挑戦」と、優勝した2013年以来4年ぶりに全日本にチャレンジした。

勝って当然、負けたら何を言われるかわからない。
この選択をした伊藤竜馬に拍手を送りたい。

今は多くの選手達がランキングを第一に考えるようになってきてしまった。
強くなるにはテニスが上達しなくてはならない。しかしその上達はプレッシャーの中でそれをいかに発揮するかだ。
「全日本」は世界を目指すプレーヤーにとってランキングはつかないが、プレッシャーが克服できるかどうか計る絶好の舞台でもあると思う。

伊藤を破った江原は伊藤のテニスをさせず考えた試合を見事に展開した勝負師だった。

今西美晴 3度目の全日本決勝進出

女子決勝は今西美晴vs秋田史帆

女子決勝は25歳の第1シード今西美晴(島津製作所)と27歳の秋田史帆(北島水産)の対戦。共に初優勝を懸けて戦う。

今西はこれが全日本の3度目の決勝進出。
昨年は大前綾希子に第1、第2セットともリードしながら逆転負け。
2013年は2歳下の穂積絵莉にフルセットで敗れている。

27歳の秋田は初の全日本決勝進出。
2005年15歳で全日本初出場。過去10回の全日本出場経験を生かしたい。

<<女子決勝>>
1]今西美晴 vs 6]秋田史帆

<<女子準決勝>>
〇1]今西美晴 75 76(6) ●7]田中優季
〇6]秋田史帆 64 60 ●8]加治遥

28日(土)は女子シングルス決勝、男子シングルス準決勝、
ミックスダブルス決勝、女子ダブルス準々決勝など行われる。
10/28 オーダー・オブ・プレー

2014年のチャンピオン江原弘泰 勝負師だ

<<男子準々決勝>>
〇5]江原弘泰 64 64 ●1]伊藤竜馬

現在のATPランキングは伊藤が152、江原が389位だ。
伊藤の方がツアーでの実績も上回る。

しかし、いったん勝負がはじまとその差は関係ない。
どちらに転ぶがわからない。

第2セット、3-3、江原はブレーク・チャンスを掴むが生かせなかった。

逆に次のゲームでブレーク・ポイントを握られるピンチが!2度あった。
それを落としたら3-5になってしまう。

しかし、3度のデュースの末にキープ4-4とする。
攻めてきた伊藤の頭上を越す、ドップスピン・ロブを綺麗に決めた。

すると次のゲームで江原にチャンスが来る。
バックのパッシング・ショットを決め、15-40と江原がブレーク・ポイントを掴む。
伊藤のフォアはワイド、江原が5-4とブレークする。

5-4、荏原のサービング・フォ・ザ・マッチは0-30となってしまう。
スマッシュを決め30-30。
サーブそしてネットにダッシュすると伊藤はリターンを相手ネット。
ちょっと伊藤のショットはいつもと違い手が縮んでいるようだ。目に見えない全日本のプレッシャーかもしれない。

そこをつき、江原は4回目のラリー後ネットにつく、
伊藤のバックパスはワイドになってしまった。
江原が、6-4、6-4で格上を破った。

<<男子準決勝>>
3]関口周一 vs 5]江原弘泰
2]高橋悠介 vs 上杉海斗

<<準々決勝>>
〇5]江原弘泰 64 64 ●1]伊藤竜馬
〇3]関口周一 62 64 ●羽澤慎治
〇上杉海斗 46 61 63 ●10]吉備雄也
〇2]高橋悠介 61 62 ●12]望月勇希

<<3回戦>>
〇1]伊藤竜馬 61 76(2) ●15]山﨑純平
〇5]江原弘泰 36 75 62 ●9]越智真
〇3]関口周一 76(5) 75 ●16]綿貫裕介
〇羽澤慎治 26 63 76(3) ●7]竹内研人

〇10]吉備雄也 62 64 ●6]今井慎太郎
〇上杉海斗 63 67(5) 63 ●13]片山翔
〇12]望月勇希 63 64 ●8]福田創楽
〇2]高橋悠介 63 63 ●14]徳田廉大
男子シングルス・ドロー

<<女子準々決勝>>
〇1]今西美晴 76(5) 61 ●12]小堀桃子
〇7]田中優季 61 63 ●吉冨愛子
〇8]加治遥 76(6) 62 ●4]清水綾乃
〇6]秋田史帆 63 64 ●2]波形純理
女子シングルス・ドロー

記事:塚越亘/塚越景子 写真:鯉沼宣之/伊藤功巳/TennisJapan

自分自身への挑戦と全日本に挑戦した伊藤竜馬