
一般社団法人日本車いすテニス協会が、2025年9月26日に東京・有明コロシアムで新会長とアドバイザー就任会見を行った。
会長には日本テニス協会(JTA)副会長であり、国際テニス連盟(ITF)の理事を2019年から務めている川廷尚弘氏、外部アドバイザーには元世界ランク1位で車いすテニス界のレジェンドである国枝慎吾氏、アドバイザーに日本車いすテニス界のパイオニアである齋田悟司氏が就任した。
国枝氏が「外部」アドバイザーとなっているのは、日本だけにとどまらず世界中で車いすテニスの発展に尽力してほしいとの思いからとのこと。就任について国枝氏は「来年ぐらいからITFでツアーの仕組みを、ATPやWTAと密にしていくという流れになっていきそうなので、私もITFと普段から意見交換をしていますし、情報供給をしていきたい」と語り、新会長についても「国際舞台でのコネクションがありますし、JTAとも密接に連携するには最高の人」と期待を口にした。
川廷氏も「国際的なネットワークを作っていきたい」と意欲的で、日本で開催される国際大会を増やすことを計画している。その目玉として、2027年開催のITF車いすテニスマスターズの招致を狙っている。

普及・強化にも力を入れるとのことで、自身もイベントを通して車いすテニスと出会ったという齋田氏は「車いすテニスに入ってくれる入口を作っていきたい」と、積極的に体験会や講習会を行っていく予定だ。
現在開催中の「木下グループジャパンオープンテニス」では、9月26日~28日に体験会を実施する他、ITFグレード1の国際大会となる車いすテニス部門を設けている(9月27日~29日)。ATPやWTAの大会に車いすテニスの大会が併設されているのは世界的に見ても珍しいそうで、注目されているそうだ。
大会には世界1位の小田凱人も出場するため、車いすテニスの認知度を上げるには最高の状況と言えるだろう。川廷氏は「世界1位の小田、上地選手がいるのは、チャンスであるということは誰もがわかっていること。これを生かして、彼らにも活躍してほしい」と語った。
将来的な目標として、2028年のロスパラ五輪で男女の単複で金メダル。クアード部門に選手が出場すること、ニュージェネレーションに1人でも多く出場することを挙げている。2032年ブリスベンパラ五輪では全員でメダル獲得を狙っている。
齋田氏が切り開き、国枝氏が実績を残した日本の車いすテニスは、今後ますます世界をリードする存在となっていきそうだ。
取材・文:赤松恵珠子、写真:伊藤功巳


